第26章 だから師走というんです
『ちょっと待った!おい、その反応なに?』
「ちょっと俺を挟んでえっちな話やめてくんない?」
『いや、ごめん虎杖そんなつもりは無いんだけれど、後回しにしたら大変な事になるんだよ、今のうちにきっちりとこの人をシメておかないとやべえの!ほんっとやべえの!』
周囲に気を付けながらも、かつて数回玩具で酷い目に遭ったこと思い出して。
決して玩具が痛いというわけじゃないけれど、そんなもので遊ばれるこっちの身としてはそれを使った行為は控えて欲しいって事で。
視線を反らしてた悟はこっちを向き、口元がゆるーく弧を描いた。
「……じゃあハルカはここで待機。僕はドアの側に居るから悠仁はバスルームとクローゼット、部屋の隅の祓ってきて」
「了!」
「GOGO悠仁!僕は真剣にAmazonの受け取り場所を指定した買い物をしてるよー」
『……買い物してんじゃねえぞ??』
室内に入っていく虎杖。追いかけていく玉犬。彼が背を向けた瞬間に悟は片手をポケットに入れて携帯を取り出したので『アダルト用品見ずに生徒の活躍を見る!』と叱って(ちょっと口を尖らせてた)
五分とせずに戻ってくる虎杖は敬礼し「終わりやした!」と元気に報告して、次の部屋へ……。
こういう部屋はもういいよ…。廃ビルってか、廃ホテルは非常にやりにくいものだな、と特に悟の居る状態で餌を与えてしまったこの任務に肩を落とす。
変に疲れる中、同じ光景の部屋にいくつか遭遇し似たやり取りをすることになって疲れる事になる、なんてこの時の一階から二階へと上がっていく任務序盤の私はまだ知らない。
……後に寮の部屋で、「ピンクと紫と黒、どのカラーが良い?」とジョークグッズの商品画面を見せてきたので、私は『いらん』とそれだけ言い、そのまま電源ボタンを長押しして彼に携帯を返した。