第26章 だから師走というんです
「あら、あらあらあら~?これはすごいね~、大ハッスルしちゃったみたいだねー!
パーティーのお片付けをしない子がいたのかな?」
私の目の前の背中ふたりから、「先生先生、あのピンクのが例の?」という少しはしゃいだ虎杖に対しての悟のレスポンス。
「そうだねえ、あれがメジャーなヤツだよ。多分、光ったりぐるぐる動いたりするんじゃないかなー…いろんな玩具で派手に遊んだみたいだねー…」という会話から部屋の内状を察してる。見ずとも悲惨なグッズ展開がされてんだろうねっ!
……うん。虎杖に任せて私はこの部屋には入らないほうが良いな。
ひとり腕を組み、個室内の実況を聞かされる身としてはさっさと次の部屋に行きたいワケで。
『私はここで待ってるから終わらせて来てくれません?玉犬は出すからさー』
すぐ側であるし、足元…私の体に擦り付く玉犬が待機してる。警戒は怠らないようにしてこのまま通路で待機しよう。
私の肩から手を降ろし、振り向く悟は私を見て不満そうに愚痴った。
「こーら、ハルカっ!悠仁に丸投げ良くないよ~?それにたくさん種類があって見応えあるよ!お勉強に見学してみなよ、すごいよアレ、散らかしたパッケージにピストン機能付きだって!僕、気になります!」
不満げな表情はにっこにこなご機嫌フェイスに回復してるし。
多分だけど後半の方が本音だろうなと。そう理解したわ。買わせねえぞ?ドンキのカーテン奥だとか、通販受け取りも拒否だかんな?
『……夜蛾学長に報告かな?』
「ごめんなさい!」
下心全開の教師は教育上良くないって事で上への報告は堪えるようです。はぁ、とため息を吐きつつ念を押すように悟の目元をガン見して『買うなよ?』と言った瞬間の悟から表情が消える。そして視線をスッ…と反らされた。おい、それ明らかにまずい反応でしょ!
袖の辺りの生地をつまみ、目線を離した明らかに買おうとしてる、最悪既に買ってる悟を見上げて。