第26章 だから師走というんです
効率は悪いけれども虎杖と一緒に行動をして呪いを引き寄せ続ける方が良いみたいだな…、と空気の切り替わった同行者達、虎杖の数歩後ろを着いていく事にした。右から行くみたいでちら、と私が着いてきてるのを確認して行く虎杖。
「うんうん、キミにしてはちゃんと後方支援に素直に回ったねえ…!」
『まあ、引き寄せるのが主というか……でも、』
でも?と振り返った先の悟の顔を見上げて。私は私の胸に手を当てる。
ただ引き寄せて、もしも怪我をしたらその怪我を吸い取るのが本来の私の持つ力でのあり方。たまに戦える、完全サポート向きというわけじゃないのが春日の一族…だった。
今の私の髪は半分近くまで白髪化が進んでいた。半分近くっていうのは正確ではない、曖昧であるという事。そろそろ領域展開でもして白をリセットするのも良いし、生きてましたって報告しに行くのだって良い。でもそれだとやっぱり効率が悪いもので非戦闘員としてしばらく守られなきゃいけない。
「…でも?」
何かあるの?という感じに首を傾げながら悟が聞いてくる。ちら、と顎の向きが上に向いたのは虎杖の様子を見ているから。ちゃんと生徒としての現在の様子を見ているようだ。
『直接じゃなくて虎杖を援護する方法、式髪じゃなくても出来るよ』
「ん?そう?じゃあ……無理はしない程度に悠仁を援護してあげな」
うん。そう頷いてひとつ髪に溜め込んだ呪力を使う術式をひとつ使用して。
──髪降ろし"鎹"
一族の魂を集めた領域からただ一人、初代を私の中に呼び込んだ。
"生きていたのか、末裔"と早速のたまっている、初代を降ろしている今だけは、例外として十種影法術の玉犬のみが使用が出来る。
春日一族の始まり…初代"鎹"は禪院家の血を春日の一族で一番濃く継いでいる。女系であるから私の時代では禪院としての血は特に薄れていく、その血を辿る先の禪院を呪い続けた鎹…、春日としての禪院の血は濃い。私だけでは隔世遺伝が出ない限りは受け継いでいないだろうけれど。身体を貸す時だけはあの世(…領域?)に一緒に連れていった玉犬が喚べるって話。