第26章 だから師走というんです
これは最終警告です。
にぱっ!と嬉しそうにマフラーを撫でる悟。喜んでくれるのは私も嬉しいよ?けれども惚気けを周りに振りまくのは恥ずかしいんだな、これが。
悟の背景に花を撒き散らしているようにも見える明らかなご機嫌具合。これは口ばかりではダメと見た。彼は私から三匹のチベスナに向き直ると身振り手振りを足しながら続きを熱弁してる。
「やだ、自慢したいもん!
……でねっ、僕が外から帰ってきた時にガサガサ音がしてー、これは必死に隠してた証拠だなって」
……よし、すっか!処刑。
『ジャッジメントですの!』
悟に近付き、少し前のめりに屈んだ私は彼の脇腹に片手を回し。そのままに地面へと落とす。あまり負担もダメージも少なめなサイドバスターを彼に掛けてあげた。
ド、と腰から地面へと落ちる悟……多分、私に触れてる部分は無防備だけど地面に当たる腰辺りは器用に無限張ってる。
「ごめんなさい!」
一度尻もちを着いた悟は凄まじいスピードですぐに立ち上がった。震えたふりしてそのまま私から虎杖の方へと逃げながら。
『まあ良しとして。反省してなかったらハングマン・デス・クリップ掛けてたよ…?ほら、先生任務について。ほら、ほら。ほらほらほら!』
「助けて悠仁、奥さんコワイ!太もも地味に痛かった!ドメスティック・バイオレンス…僕のハムストリングスが悲鳴上げたよ~!」
「先生、だっさいね…」
虎杖の横にスッ…と隠れる悟はそのままに今日の任務についてをちょっとビクビクしながら説明をぽつりぽつりと始めた。別にやりすぎじゃないとは思うんだけれどな…。こうしないと未だに惚気けていただろうし。
虎杖の背後で両肩に手を置いた悟。私が虎杖に狙いを定めてないって事もあり安全確保というか盾といいますか。