第25章 気分はホワイト、時々ブルー
私は『本番時も白いドレスを着れば良いじゃん?』と悟に言えば彼は首を振って、さも当たり前だというように、「白いドレスは処女が着るのよ~?僕を良く知ってるハルカは黄色がメイン。だからキミは黄色を着るワケ。神サマに誓う場面で偽って白なんて着て愛を誓うなんて、嘘っぱちの結婚式でしょ?」……と、マトモな事を言っていて頭でも打ったのかな…と、私は何度も彼の言葉にうんうんと納得して頷いたのだけれど。
その今回、前撮りに着る為のドレス。
……ちょっとぴっちりするけどさっき着た方が軽くてまだ動きやすいかなあ。機動力と写真映りの良さを比べつつ、自分だけさっさと決めて終わらせてる悟を見る。同じ部屋に居るのに何故か静かなのが不気味なんだよね、この鼓膜にストレスがかからないのが不安っていうか。代わりになんか機械音するんだけど。
見れば彼は口を片手で覆い、もう片手に携帯でコチラに向けて機械音をカシャカシャ鳴らして連写をしていた。
カシャシャシャシャ…という音に少しばかり呆れる。デジャヴかな、前にもこれあったわ。
『……何か言えー?』
合ってるとか合ってないとか。さっきのが良いとかこれで良いとか。レースがあるのとか。
携帯画面を見て、遠ざけて、だらりと下げて……呻くように、「ううっ…」と声を漏らしてる悟。
「ヤバ……好き……尊いがすぎる…、ハルカ、僕と結婚しよ……」
『いや、うん…もう結婚しとるがな…』
「うん……結婚してた。そうだったね、結婚してたね、僕たち。やっぱ花嫁衣装のブースト半端ないわ…このまま連れ去りたいんだけど……。
綺麗すぎて鳥かごに閉じ込めたくなる、閉じ込めたウエディングドレスのハルカを毎日僕だけが世話したくなっちゃう…いや、愛でたい」
『危険思想まるだしやめて…?監禁コースじゃねえか』
……まだレンタル衣装の調整ですよ…?