第25章 気分はホワイト、時々ブルー
サムズアップしてる悟を引っ張り、もう一方の手で父に手を振る。これ以上父と対面させたら余計な事を言いかねない!早めに引き剥がさなきゃ!
車の元に辿り着けば借りていた車に乗り込むのは悟。助手席に私が乗り込むと、エンジンを掛けた後携帯片手に悟はナビを操作してる。
運転、大丈夫かなあ…。路面は地熱もあって雪は溶けているけれど、敷地外でも塀の上や雑草の上、木々の葉には昨晩の雪が僅かに残ってる。シャーベット状の雪、滑るんだよね~…。
『いい?悟。急の付く運転は駄目だかんね、雪で滑ると大変なんだから。マリカどころじゃないよ?マジで運転任せても良いのね?』
悟はナビの操作を終えてサングラスを掛ける。昨日はしてなかった、もしかしてこの車に隠してんの?スペア…?
サングラスを掛け終えた後に口に巻いてたマフラーを整える。そしてこれでもかっていうようなドヤ顔。
「うん、任せなさい!
ところで…どう?キミからのマフラー……僕に似合ってるでしょ?」
『……うん。悟に合いそうだなって選んだから…巻いてるの、実際にみたら、やっぱり悟に似合ってるね』
ちょっとはにかむ彼は、巻いて首元から垂れ下がるマフラーを撫でるようにポンポン、と叩く。波打つ布生地、その衝撃で銀糸の刺繍がキラキラと輝いていた。
「少し早いクリスマスプレゼント。ありがとね!大切にするよ」
『……回収しても?当日に渡し直しとかさあ~…』
当日に渡すぞーって気合い入ってた分、バレて即使われるとは思ってなかった。いや、寒くて使わざる負えない状況だったからこそ使われたんだろうけれど。
私の提案に悟は頬をぷっくりと膨らませて首を振る。ここだけの話、ちょっと子供っぽくて可愛いと思った……ほんの一瞬だけど。
「僕のサンタさんはちょっとあわてんぼうだからね、早めに僕の所に来たの。いいサプライズになったよー……すっげえびっくりした。これ、大事にするね?僕専用のマフラー」
確かに、昨日のあの時はびっくりしてたのは見てたけれど、サプライズ成功!って雰囲気ではなかったから、今こうして聞くとサプライズ自体は成功したって事になるんだけれど。