第4章 乱心、暴走
26.
がちゃ、ガチャガチャガチャガチャ……
『あれ、私の部屋なのに鍵入んないな、これ壊れてない?別の部屋…じゃないしなー…自宅の鍵かぁ~?』
ガチャガチャガチャ…
鍵を鍵穴に入れようとすると、鍵がどうも上手く入らない。
そんな私の手から七海が鍵束を取り上げる。
「手元がおぼつかないだけですよ、ハルカさん。鍵穴すら入ってないです。なんで縦穴に横で攻めるんですか。あーもう開けますから。酔うと面倒くさいですよ」
『ハハッ↑さほど酔ってないですよ』
「それはオリエンタルなネズミですか?酔っぱらい程シラフと言いますよね、ほら部屋の鍵が開きましたよ」
なにか言いたそうな七海により鍵が開けられ、鍵を返された。私はもたもたと部屋に上がる。
玄関で帰ろうとする七海にハンドサインでこっち、と招き部屋に上げた。
「これが例の…、」
会計済みテープを張ってもらった新品のセロテープを開封し、悟が部屋に侵入する壁に乱雑にペタペタと張っていく。ガムテープが売り切れていたからセロテープ。きっとなんかの工作に急に必要になった人がまとめ買いしたんでしょうね。
私が隣の部屋まで続く、隠し扉を塞いでいれば七海がすごい顔をしていた。
「何をされてるんです?」
『こうすればきっと隣から来ない!よし!」
『良くないです』
「じゃあ、七海さん一回、部屋に送ってくれたお礼に……やってきましょう?』
人差し指と親指でグラスをくいっ、とするモーションを加える。
コンビニで買ったのは量あってなんぼ、という感じの4Lの芋焼酎。すごいもと書かれたものだった。机に置くと、どすんっ!とラスボス急の音を立てるすごいも。
「飲みすぎですよ、ハルカさん。何故部屋でまで…、」
『いいからいいから、一回だけ……、』
ばたばたとグラスを持ち、氷を入れる所であっ、と声を漏らした。
七海はどうするんだろう。ロックかな?ストレートでかな?
『七海さん、使います?』
「はあ…要りません」
『そのままで?了解です』
机に置き、キャップを開けようと手に取る、すごいも。
部屋でしばらく楽しめるはずだ。