第25章 気分はホワイト、時々ブルー
……ケタケタと男ふたりが笑ってる。「耳でっかくして聞いちゃって~」とか言って!耳でっかくしてねえよ!マギー審司かっ!嫌でも聞こえてくるんだっての!
……ん、もう大丈夫でしょ。土鍋だし予熱もあるし、もう火を止めておこう。雑炊を作り終えてドライヤーの音がする浴室方面、父親だけはこっちににこにこしながら戻ってきて(無言でケツパァン!って父を叩いておいた)悟を待ち、同じくにこにことした普段と変わらない悟がやってきて。
鍋を食べ終えた後に時間も時間だし、さっさと片付けて。リビングでゆったりとした時間、三人でお茶を飲んでいた。
『悟、ここまでは電車で来たの?』
彼は運転が出来る。だから車で来たのかなって思って。
もしそうであれば高専の車を二台も私達が借りているって事になる。それは流石にヤバイかな~…って思って恐る恐る聞いた。
ふわ、とした優しい表情でこちらを見ている悟。
「ん?いや、たまたま散歩してた夜蛾学長に事情話したら近くまで車で乗せてって貰えたんだ。帰りはハルカと一緒だろってね!ここ周辺にポトッ!って降ろされたワケ!」
『はえー……。しかも悟、任務…、仕事の後でのコレじゃん…』
疲れてるだろうに、ゆっくりする時間もなく寒空の下で待ち続けただなんて。
父がにこにこと私達のやりとりを眺めていた。そんな中、私の親が居るのにも関わらず悟はいつもの調子で瞳を細める。
「大好きな奥さんだし追うのはアタリマエだろ?それに、明日試着しに行くって僕、言ったんだからどっちにしろ迎えに来るのは確実だしね」
大好きな奥さん、て。気恥ずかしくてそっと唇を噛んで、疑問が浮かび首を傾げる。なんだっけ…?
『………しちゃく…?なんの?』
大事なことがすっぽ抜けてた。そういえば部屋で一度は衣装ケース前に来てた悟、その後に流れるように別空間で大事な話を始めてた。微笑む彼は、えっ?という顔をして口を尖らす。
「……来年結婚式挙げるけど、籍を入れた今年中にせめて前撮りだけは撮るって言ったじゃーん。今日ある程度はレンタル衣装を画像で見て決めて、明日いくつか試着して予約入れんのっ!」
「ほー、遂にか!」