第25章 気分はホワイト、時々ブルー
『ヒュッ…』
「あっお義父さん?夜分失礼してまーす」
私の背後からのニヤけたような声色。足音聴こえなかったんだけど?いつからそこに居たのか、どこから私達の会話を聞いていたのか知りたくない……!
俯きながら振り向けない私に悟は抱きしめてた腕を解いて頭をなでなでと優しく撫でてる。
「玄関じゃなくてちゃんと部屋まで上がってきな、悟君!そこじゃそいつだけだと冷えてく一方だろうよ!
ずっとそいつを待ってたんならメシはまだだろ?ろくなもん無いけどうちで食ってけ!寒いだろうし風呂も入ってけ!なんなら泊まってけ!タイガの部屋でもハルカの部屋でも好きな部屋で寝てけ!」
振り返れば腕を組んでかっかっか!と今日一番楽しげに笑う父が居た。
『すっげえ畳み掛けてる……!』
「あー、じゃあお言葉に甘えさせて貰うねー…、ああ、そうだ、ハルカ!一応キミのお家だもんね?玄関に入ったんだし…、」
にこー!と元気な笑みを浮かべる悟。これは来るな…?と察した私。警戒をしとく。
「ただいまのちゅう、」
『実家ではやめろ!』
両手で悟の顔へと押し、阻止してキスキャンセルを成功させた。親父の前でこんな事やってられっか!恥ずか死するわ!
不服そうな悟にただいまのちゅうはしませんよー、とドヤ顔をしていると、背後の父は「おいおい…」と呆れた声を出し、笑っていた。「普段通りちゅうさせてやれよ」と。