第25章 気分はホワイト、時々ブルー
「うん、今こうして温まってる。ああ、そう。温まる、といえばさ。ハルカが隠してたマフラー…すっごく温かいの。フライング・クリスマスプレゼントだねえ。上手に刺繍も出来てるしそりゃあオマエが毎日ニヤニヤしながらちらちら衣装ケースを見るわけだよね~!」
『は、はあ…?私、そんな顔に出してたつもりじゃないんだけど…?』
顔を上げれば楽しそうな笑みを浮かべていた。
悟が居ない時を見計らってこっそり縫ってた日々。部屋に居る時は大体悟がべったりと張り付いてる。ていうか半径3メートル内にずっと居る的な。
だから狙い目として硝子の居ない時の任務に高専に待機っていう時はもちろん、悟が任務で帰りのホームルームに間に合わない時。他にも○○で買い物をしてきて!と頼めば帰りは少し遅くする事は出来た。
そういう時に進めてのようやく叶った完成日の今日。作業が進んだ日は確かに心躍ったけれどさ…!
もぞ、と抱きしめてた悟が離れて、マフラーの端を持って名前を入れた部分を見せて笑う。ひらひらとマフラーを振り子のように振って。
「めっちゃ態度にも出てたねー。
なにやら楽しいことを独り占めしてるもんだから、きっと休み前である今日"イイコト"をするのかなって思ったのに予想外にハルカは可愛い事をしてるんだもん。
……怒って実家に帰るのは想定外だったけどさ。やっぱり僕のお嫁さんは最高に可愛いね?」
なんとも言えない気持ちだ……。ウン…隠しきれてたつもりなのに悟には割とバレてたってわけだ。うつむく私の頬に当てられたまだひんやりとした手。「照れちゃって~すっごいぽかぽかするー」と笑い声の混じった、のんきな事を言ってる悟。
寒い中でも甘い空気になる中で一言、私達とは違う遠巻きからの声が掛けられた。
「お楽しみ中失礼しますがー」
現実に戻されるのは確かに私には居心地の良い空間でありながらも、家の主が居る状況であったという事。
スゥ……と全身から血が引くような感覚。