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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第25章 気分はホワイト、時々ブルー


「もちろん、ハルカが大きくなった時もな、しっかりものの母ちゃんは婆ちゃん関連でお前を守るために色んな事をしてた。その方法がさ、俺にはどうしても可哀想に思えてならなかったんだ、その意見に俺は拒絶した事があった」

父がはっきりと言わずとも、なんとなくは分かるような気がする。
『うん…、』と相槌を打って、今の私に参考になるかもしれない、ひとつの事例を聞いた。

「母ちゃんは俺にもういいって怒って、数日お前を連れて出ていって、俺もどこに行ったか分からないお前達を探して、タイガを引き連れてあちこち探し回った。仲良くて大事なモンって、離れた時に思っていた以上にもっともっと大事だったんだって気付くんだよ。

で、結局あの時はお前も母ちゃんも見つかんなくて。がっくりして、男ふたりめそめそしながらお通夜状態でよ。
お前達が帰ってきた時は俺はお前達をがっしり抱きとめて、母さんの足にタイガも引っ付いてわんわん皆で泣いたのは我が家で一番の大事件だったなあ~」

父の遠い記憶の話…「覚えてないか!」と笑いながら大声で聞いてくる父に『分かんない』と頷く。足に兄がしがみつくってくらいだから相当小さい頃の話。私の記憶になくて、また母に隠されてた記憶でもない。
家族の大喧嘩だという、意見の違いとは私が飛び出してきた理由と大違いで。すごく些細な事で飛び出して来てしまったというまたひとつの後悔を積み重ねてる。死にかけた時も死んだ時も後悔をしてたのにさ、こうして生かされてる今、またちっぽけな後悔を作ってるんだ。
じわ……、と溢れる涙。

『……父ちゃん達みたいな喧嘩じゃない。私の場合は些細な事で飛び出してるんだ…』

俯けば何も入れてない取皿を中心にした視界。ずす、と鼻を一度啜った。勝手な事をしてるとは自覚しながらも、頑な自分に呆れる。呆れられてる…多分。

『頑固過ぎるのも、良くないよねえ…』
「ははっ!なあに、それもひとつの良さだろ~?
喧嘩の全くねえ夫婦なんてつまらなくて刺激がねえだろ?喧嘩は喧嘩、浮気とは違うんだ、些細な喧嘩ならたまーにしとくと仲直りした後が一番幸せになるんだぞー?」
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