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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第25章 気分はホワイト、時々ブルー


……墓前ってか、本人に。むしろ本人を降ろして聞かせられるけれど?へらへらと少しぎこちなく父は笑ってキッチンに立つ。まだ調理中、この後は卓上ガスコンロの上に移動すれば良いだけだけど。

「いや、だってまさかお前が帰って来るなんて思ってなかったし油断してたんだよ、俺も……いや、ほんといつもは気を使ってるんだ、今日はたまたまだ、たまたま!」
『……いつも気を遣え~?ただでさえ、毎晩晩酌して、ヘビースモーカーなんだから野菜は摂れって母さんに言われてたでしょ』

ははっ、となんだか抜き打ち晩ごはんチェックしてるみたいで、恐らくは買ったのではなく貰ったであろう、だらん、と少ししおれた白菜を切る。
食卓の卓上ガスコンロの上に移動し、鍋に突っ込んだ白菜を煮込みながら、テレビがニュースをだらだらと垂れ流しているBGMが流れてるのを耳にして。
親子間にただ、沈黙が流れていた。

……彼は寮の部屋でひとり、鍋を食べられているかな。悟ならひとりでもなんだって出来るから、別に私が気にしなくても勝手に食べるだろうけど。
実家からまた寮に帰った後も嫌だという事をし続けるんだろうな。状況的に仕方なかったとはいえ、もう少しお互いを知っていったり悪いところを見直したりする期間があったならば。今みたいな事にはなってなかったんじゃないのかな。
箸を持ったまま、鍋のボコボコとした沸騰する様子をぼーっと見てた。

「……俺ん時もそうだなあ~……、好きなもん同士が一緒になるとそりゃあ、嬉しくてなんだって出来そうって気にもなるし、物事の多くが上手くいく時ももちろんあるんだけどな、上手く行かない悪い時ももちろん、それなりにあるもんなんだ」

『うん……』

まだ生の白菜をぼーっと見つめて、割り箸の先でボコボコいってるお湯の下に押し込んで、騒がしいテレビの音声に負けない、力強い父の言葉に耳を傾ける。

「……特にリョウコは、お前の母さんはああ見えても結構しっかりしててさ。ちゃらんぽらんな俺に初めは手を焼いてたみたいで何回も喧嘩した。基本手は出さねえ、口での喧嘩だ。お互いに若い頃は荒れてた事もあったから、口喧嘩も荒々しくって譲らねえ。でも最後にはしっかりと離れた分、元に戻るんだ。戻んなかったらお前もタイガもこの家に一緒に居なかったさ」
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