第4章 乱心、暴走
「ああ…以前にもここで聞きました…互いの利益の為の表面上の付き合いでしたっけ。私から見ても五条さん、表面の付き合いというよりもセクハラでしたね」
『あー…でも七海さん。一応、区別があったのかケツとか乳は触られませんでし痛っ、家入さーん…』
手刀が左から後頭部に伸びて、私は頭を抱えた。
グラスを空にし、目の前に置かれたサムライロックを引き込む家入は"声がでかい"、と注意をする。といっても店は騒がしいからそんなに気にならないとは思うけれども。
……持ち上げられた時のちょっと揉まれた事思い出したけれどあれは今言わないでおこう。
「で?ハルカはどうだったんだ?五条の事。どう思ってる?」
少し減ったサムライロックを私は引き寄せて2口飲む。ちょっと日本酒が濃いめだ。ライムちょっと足りないよ、唐揚げのおまけのレモンはシャンディガフに使っちゃったしなぁ。
コン、とグラスを机に置き両手で触れた。冷えたグラスは結露していて手の平が濡れる。
『どう思ってるか……というと。
天才、最強、馬鹿、アホ、軽薄野郎、お花畑…不審者、甘党野郎、28歳児、逆コナンくん、布団版豊臣秀吉、敬称略セコム……サーヴァントバーサーカー』
「そういう意味じゃなくって」
「布団版豊臣秀吉………?」
※布団晩豊臣秀吉…ハルカのベッドに潜り込んで温めている為
家入が言いたいことは分かっている。それはまだ誰にも口を開いてない言葉だったから。
賑やかな居酒屋でもその言葉は呟く程度の大きさ。それでもふたりには聞こえるのに十分だったみたいで。
『───好き、』
はあー…、と家入が私が両手で持っていた酒をぶんどって一気に呷った。
って、ああ…っ!私の酒が…っ!
あわあわとしてると、空のグラスを押しつけられたのでそれを受け取って机に置いた。すん……っ。仕方ない、注文するか。カウンター内のスタッフに片手を上げて呼び止めた。
『すいませーんモスコミュール下さい!』
「それで最後にしてください、家入さんが途中であなたのを飲んだとはいえ今日の量は多いです」