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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第25章 気分はホワイト、時々ブルー


外は寒いっていうし暖かい格好をして。そのまま足を玄関へと進めていけば、背後から早足で近付く悟の足音。

「ちょっと、そんな格好してどっか行くの!?コンビニ?コンビニなら一緒に行くよ?」

まだ耐えられる、と悟を睨む。まだ悔しいからって泣かないし。

『実家。実家に帰る、車に乗って。なら、大丈夫でしょ?寄り道はしないって約束しとく。週明けの学校、登校日まで帰らないから』
「は!?」

追ってくる悟の手が肩に触れる。それを払って靴を履いて、ドアを開ける。鍵なんて閉めなくても悟居るし良いでしょ。
速歩きで車庫へと進む。ただ街中に行くわけじゃない、僅かな期間実家に帰るだけ。階段を駆け下りて、空はもう暗い中で寮を出る所で悟が追いかけてくる。

「ハルカ、待てよ!いや、ほんとゴメン僕が悪かったって!勝手に見てごめんって、ねえ、」
『……やだ。家、帰るし。やめてって言うこと、強引にする人、嫌い。
今日、これ以上悟と居たらもっと嫌いになっちゃうから距離取らせて貰うね、じゃあおやすみ。あと部屋の電気とかストーブ着けっぱだから』
「消してくる……けど実家に帰らないで!いや、ほんっと、悪かった、ゴメンって!」

片手に巻き取るように持たれたマフラー。まだきっと気付いてない。寒空の下で熱いものが頬を伝えばすぐにそこが冷えてくる。

『……着いて、来ないで…っ!今は悟と居たくない!』
「……っ、」

彼の伸ばした手が引っ込む瞬間を見て、彼に背を向けて足を急がせた。どんな表情だったのか、胸から下しか見てない。突き刺さるような寒さが余計にこの気持ちには辛かった。
クシュッ、とひとつくしゃみをして止めた足を車庫へと進める。別に一日半くらい外に出るんだし。それまでには私が気持ちを切り替えれば良いんだし。

……でも、今回私がこう我慢して、また次も止めてって事を強引にされたら同じことをするのかなあ…それとも、心を押し殺して我慢して、円満であろうと努力するべきなのかな……なんて。
いやだ、今はそんな事は考えたくない。

手と首元が少し寒い。車庫に着いたらさっさとエンジンを掛けて追いかけてくる彼の姿が無いことにホッとしながらも少しだけ寂しさを感じつつ、私は実家へと車を発車させた。
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