第25章 気分はホワイト、時々ブルー
せっかくこっそり作ったってこうもバラされちゃサプライズも興ざめで……。
どきどきしながら作って、当日に向けてもっとクリスマスプレゼントらしくラッピングとか後日にしちゃって、当日までキープしてって。喜んでくれるかなって思いながらの日々が無駄になっていく。
いや、今無駄になった瞬間だった。
「ん?これ…は……マフラー…なのかな?」
『……誕生日に手作りケーキ作れなかった分、せめてクリスマスに、悟にクリスマスプレセント……、サプライズプレゼントをしようとしてたんだけど……、』
はあ……。
思った以上に私の口から出る声が低くて抑揚がない。
今日は、無理。なんだか努力したものがパアになったというか、止められなかった事が悔しくて悔しくて仕方なくて。
どうして止めて、と言うことに対して止めてくれなかったんだろう?そこできちんと止めてくれたならばここまで揉めなかった。
これが、これから先も続くのかな。止めろといって止めなくて。私が折れれば万事解決。そうやって円満だと一生続けていくわけ?
ぎゅう、と自身の手で拳を作る。
隠し事、してたのは申し訳ないけれど。その隠し事の全てが疚しいものじゃないんだよ……。
明日は休み、なら時間があるなら少し考えたい気分になって。とてもじゃないけど今は彼と話をしたくない、一緒にご飯を食べたくない、眠りたくもない……今は悟と居たくない。そう思えてしまった。これくらいで彼を大嫌いになったわけじゃないけれど、ただ今は腹が立つから視界にも入れたくない。嫌いになりたくないからの距離が取りたくて。
『……明日、休みじゃん。ちょうどいいや』
「ハルカ…?」
まだ思考停止が続いたであろう悟がこっちを向いて、瞬く瞳が見えた瞬間に私は視線を反らした。
『あのさ、私、悟の事は好きだよ?でも、こういう嫌なものは嫌だって言ってる事を強引にするのは好きじゃないな。これから先も一緒に居るのならそういう事されるのとか、私は無理かな』
悟の手に持つ、足元まで垂れてるマフラー。今、彼から奪って拾い上げれば努力した部分は隠せるだろうけれど、どういうものなのかって全貌はバレてる。
両手にマフラーを橋渡すように持つ悟の前から私はスタスタと去り、手早く鞄を取って、携帯や高専でよく借りる車のキー、それからコートを羽織った。