第25章 気分はホワイト、時々ブルー
『だっ、駄目!絶対にダメ』
袋を高く上げる悟は楽しい玩具でも見つけたみたいに、にこにこと笑って楽しんでる。それを取り返さなきゃ、と"怒髪天"を伸ばすもその部分に届かない。なんか伸ばすに伸ばせないってか……いや、この人、このやりとりに無限張ってんだけどー!?
『何無限張ってるワケ!?チートじゃん解いて、今すぐに解いて!』
必死に手も式髪も伸ばせども届かない袋。
悟は、あは!と楽しそうに笑っていた。
「術式使ってまでとか必死すぎてウケる~。触った感じ硬くないから本とかじゃなさそうだね、柔らかさからすると下着とか?ねえ、当たり?答え合わせしても良い?」
『だめ、だめだめ見ちゃ駄目、そんなんじゃないから。やめて、マジで怒るよ?』
手も届かず、式髪でも近付けず。よろける体、片手で悟の胸の辺りに触れてもそこはしっかり体温を感じるから器用に頭上の袋inマフラーにのみ無限で妨害してる。
絶対に中身は秘密にしたい。バレないようにして当日に何事もなく渡したい。
必死になっているとククッ、と楽しむ喉での笑い声。
「駄目、とかそう言われると見たくなるんだよねーっ!ほら、追いかけっこで待てと言われて待つ人居ないみたいにさ~?」
『はあ……じゃあ見ても…イイヨ?』
押してダメなら引いてみろってか?それで返してくれるなら…と言った言葉を真正面から受け止める、都合の良い言葉だけ厳選してくださるのが五条悟という男でして。
「ヨッシャア!許可出たから見よー」
『謀ったなっ!?やーめーろー!』
どっちに転んでも見るつもりじゃん!と慌てて両手で必死に伸ばす"怒髪天"。頭上をちらちら見ながら悟は折りたたむように袋をコンパクトにしたものをガサガサと鳴らしてる。
「何が出るかな?何が出るかな?」
『だ、駄目だから、止めて!お願いだから見ないでっ!私、ふざけてんじゃなくて本気で言ってるんだけどっ!』
「へーへー。本気本気~……じゃ!オープン!」
うわ、まずい…!
そう思った瞬間にがさ、という音と共に広がった袋の開け口から、飛び出す中身が見え始めた。
ぱさ…、と袋から取り出されたのは今日まで何日か掛けて刺繍を入れ続けたマフラー。本気でえっちな下着だとか思ってたのか、予想外なものの登場にきょとんとした彼。悟はそれを手繰り寄せてじっと見てる。