第24章 ハロー、ニューワールド
「生理来たんじゃ昨日の出した精子ぜーんぶ無駄になったんじゃん。今日こそ孕ませる為にすっげえ濃厚なえっちしようって思ってたのにさ!……こうなったら生理空けにオマエん中にめっちゃ出すから。安全日とか関係なく孕ませて9月生まれの赤ちゃん仕込むから覚悟しとけよ?」
『……ハイ…』
エアホッケーやフリースローで暑いからって緩めたマフラーを悟が巻き直してしっかりと暖かい状態に整えてくれる。
喧騒の中「よし、」と小さく言ったはずであろう言葉は私にはしっかりと聞こえていた。
「ん、暖かそうに見えるね。冷えないようにしてね?今日は寒いし暖かい服買って鍋のお店にでも行こうか?」
コロッと機嫌が直って優しい声色になった彼は私に手を差し出した。それに重ねると運動をした事もあり少しだけ彼の体温が高い手と手が重なって絡み合う。
今日は寒いけれど、確かに車で言っていた通りふたりならいつだって温めあえる…うん、身も心もあったかいものだと感じれば自然と頬も緩むもので。
『……うん!あ、ケーキ!悟、キルフェボン間に合ったら行こう!あそこなら悟好きなのあるでしょ?前にお土産買ってきてたし!』
「ん、タルト?いいねえ~、この時期何があるんだろうねー」
互いににこにことしながら賑やかな店舗から手を繋ぎ、少し静かな寒い外へ。
一日遅れのバースデー。新たな歳を重ねた悟に今年はケーキ代を出したけれど。
近々やって来るクリスマスには何かあげたいな、とこっそりとプレゼントになるようなものを私は探っていた。
それで見付けたのは"マフラー"。服を買う時に少し悟が離れた隙に買って、あとでこっそりと刺繍でもしよう、とソーイングセットも購入して、クリスマス用のチキンの予約をした後に私達は高専へと悟の運転で帰った。楽しいこともあったけれど、これからのサプライズを彼にバレないでやり進めていくという事。明日からこそこそと進めて行かなきゃ!
……で。どうしてもこの日は嬉しさと楽しみで緩んだ表情を止められることが出来なかった(めっちゃ彼に頬をつつかれた)