第24章 ハロー、ニューワールド
そう期待されてもなあー……とスネてる悟を見て。
私もお菓子作りが上手いわけじゃないし作れるかの不安。ブラウニー失敗事件が起こってるしね。まだ超簡単な生チョコにトライしておけば良かったんだけどチャレンジしてしまったのは仕方ない。
……ああ、だったら。
『ケーキ、生地からじゃなくても市販のスポンジケーキとかクリームとか苺とか買ってきて悟も一緒に作る?味も保証されてるし半分作るみたいなモンでしょ?』
それなら一緒で楽しそうだし、何よりも記念になる。上手に出来ても良いし、下手くそな崩れたケーキでもゲラゲラ笑っていい意味での記念になるんじゃあないのかな?
そんな提案に悟はサングラスの奥で優しく目を細めて笑った。
「……うん!それが良いや!どんなに高いケーキよりも絶対にそっちの方が良い!なんなら毎年クリスマスのケーキはそうやってくのも良いんじゃない?」
『えっ毎年やるの?私予約殺到レベルのあのパティシエのケーキ食べたいんだけど』
「はあー?それはそれで別に頼んでサブケーキにすりゃ良いじゃん。メインケーキは手作りケーキにしよ」
メイン?サブ?ケーキなのに装備とか召喚石か?初めて聞くんですけど……そのクリスマスケーキのフレーズはよぉ…。
ふと私は立ち止まって、イルミネーションとはまた違う、年中音やライトが賑やかな店舗を発見して、悟に店舗を指差して笑いかけた。
『ねえ、久しぶりにやってかない?お互いチートナシの真剣勝負!』
指差すのはゲームセンター。『やろ?』と誘って、にっ!と笑うと同じく悟も強気に笑って手を銃のようにして私を空撃ちする。
「エアホッケーだろ?今日は更にハウスオブデッド、フリースローもやろうぜ!んで、負けた人が勝った人の言うことを効く、でどうよ?」
自信たっぷりに悟は言う。この人勝つ気でしかないな?私だって自信はあるし。エアホッケーは悟よりも勝ち越してる、ゾンビを撃つのは少し悟が有利(だから銃を撃つフリしてたんだな、得意分野で勝つ気満々でさ!)、フリースローは五分五分。頑張れば悟を三タテくらい出来らぁ!
ふんす、と鼻息を荒めに空いた手でサムズアップして笑ってやった。
『いいよ?負けても後悔しないでねー?』
「ククッ、それは僕のセリフ。じゃあ、お買い物とご飯の前にかるーく運動して行こっか!」
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