第4章 乱心、暴走
「ハルカって面白いなーって思うかな?」
「じゃあ五条。それは友人関係だったんだ。あんたはみたらいハルカに友達として居させて下さいって言うべきだったな。
"面白い友人"ならば、その友人がこの後、もしも恋人が出来たり家族が出来たとしても祝ってやれよ?」
「………」
目は見えずとも、見える顔のパーツは不服を表していて、頭をぽりぽりと掻いている。
本人には理由が分からないけれど友達ではないと否定したいらしい。そんな黙り込む五条に家入は仕方ないやつだと思いながら少しだけ手助けをしてやることにした。
「私がどういうつもりだんだ、と聞いたのはそういうんじゃない。五条、あんたはハルカが好きか?」
「……えー?そういう話って僕みたいのじゃなくて青春を謳歌する世代がするものじゃない?」
かつて彼はそわそわとしてハルカに好きか嫌いかと聞いた事があった。
好き、と言われて気分が大変良くなった。そして追加された可もなく不可もなく、という言葉にがっくりとした。
ならば悟としてはハルカに向けるものはそういうものなんだろう。
室内の壁掛け時計をちら、と見た家入は面倒くさいな、と思いながらため息を吐く。
「気付けたら僥倖、気付けなかったら本物の馬鹿だ。なんにせよ、遊び気分ならもう深入りするなよ。本気なら暴走しない程度に」
よし、と家入は組んだ脚を解き、立ち上がる。
まさか無縁だと思ってたこいつから色恋沙汰の相談だなんて思っても居なかった。
床に置いた鞄を持ち、家入はふたつの顔覗くドアを開けてその場を離れていった。
全開のドアから隠れる事なく露わになる伏黒と虎杖。
互いに顔を見合わせ、釘崎の居る椅子に駆け寄る。目の前にはあぐらをかいて考えている五条がいた。