第24章 ハロー、ニューワールド
学生を辞めるのは少し寂しいけれど高専に関われるなら寂しくはない。そして安全なのは良い事だしね。
私もはよ食べよ、と口を私は動かしつつ、飲み込んだ後に悟に聞いてみる。
『二年からの呪術についての知識とかは悟がオフに教えてくれんの?稽古とかもさー…』
座学が無くなる分、学ぶ機会が無くなるからそういう知識を得たいなら教師である悟に聞きたいのだけれど、
悟は当たり前って顔で鼻でふすん、と笑った。
「んー、そういう事になるかなー?一般教養はそんなに得意ってワケじゃないけど呪術に関してはなんでも聞いてよ。僕、天才だから教えるのも上手なのさ!」
スープを掬ったスプーンを覗き込みながら前後に揺らして、私を向いてウインクをする彼。自称天才(いや天才なんだろうけどさー)が言うなら心強いってもんで。
時間ある時には稽古もじゃんじゃん付けて貰って悟を放り投げるぞー!と別に学生からそういう、一般呪術師というか補助監督生もどきみたいな身分になるのは別に構わないかな、と思えてきた。高専に居るのなら寂しくないのだし。
『じゃあ悟が私の専属の先生になるって事かー』
「ンッフ!えっちな事言ってらっしゃるぅ~、AVにありそうっ!」
『は?事案か?そういうプレイはしないから脳内で完結してて、どうぞ。思考を次アウトプットしたら通報ねー』
カップの中に、笑った衝撃でポタタ、とスープを零す悟はスプーンを口に運ぶ。「一緒に食べるのはやっぱり美味しいね」って。
……後に知った事だけど、実は私のカップと交換して血の入ったミネストローネを彼が食べたらしい。道理で私の方なんも変哲もないスープだったわけだ。まずいなら残しても良かったんですけど?そう言う前に悟は「美味しかったけど?」と笑って言っていて。
…私はほんのちょっとだけ引いたりした……。