第24章 ハロー、ニューワールド
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彼が眠った後。抜け出すのに苦労しながら(ぎゅううってしがみついていて、そのまま爆睡してたのは相当疲れてたみたいだ……)ベッド周辺に脱ぎ散らかした服を拾って、寝てる悟にパンツを履かせて。
私もこのまま全裸だと風邪を引く、夏ならまだしも十二月だし……と割と乱暴に打ち付けられた腰を擦りながらなるべく音を立てないようにして着替えた。
パンツはまだ大丈夫だったけど部屋着とかブラは新しく違うものを持ってきた。ゴリラパワーで引きちぎられたしね…。
『……』
着替え終え、キシ、とベッドに腰掛けて。ぐっすりと眠る悟を見てその頭をゆっくりと撫でる。少し湿ってる。そういえば髪をろくに乾かさずに、食事の後に乾かし合おうって言いながらも喧嘩のようになり、激しく身体を交わらせて今に至ってる。
……だからって、こんなにぐっすりと眠る悟を起こすのも躊躇うし。そっと布団に体を滑り込ませてしっかりとお互いの肩が覆われるまで覆う。暖かくして寝よう、明日髪凄いことになりそうだけど。
今なら無防備な彼に記憶処理なんていくらでも出来る。けれども悟の想いを打ち明けられてからは流石に野暮な事はしたくないなって思ってそれとは関係のない、ただの触れるだけのキスをそっとして布団を共に被る。
彼のためには私が側に居ないほうが幸せなんだって思っていた。けれどもそれを悟自身は許してくれない。むしろ離れて行こうとしていた私に、側に居ることが、時間を割くのは自由だろと怒りながら私に一生側にいろと言ってくれた。自分から悟から離れようとも他人に引っ張られて離れさせようともきっと悟は今回のように必死で繋ぎ止めようとしてくれる人なんだ。そう思えば拐われようが殺されようが、私を助けに来てくれる彼の存在はこの後の人生に二度と出会える事の無い人、自惚れかもしれないけれど運命の人なんじゃないのかと思った。
……目の下に隈とか作っちゃってさ。あんなにはっきりと言われちゃ、去るに去れないじゃん。今じゃ気が緩んでしっかりと眠る悟。もぞ、と彼に身を寄せて。