第24章 ハロー、ニューワールド
「硝子~、ハルカ持ち帰るねー」
「ん。ハルカ、あんたは今日まで無意識で触ってきたやつの治療をしてたんだ、その分使うエネルギーも多い。しっかりメシ食べて栄養を摂りな」
早速私が起きたって事でベッド周りの片付けを始めてる硝子。しばらくは個室を占拠したくないものだなあ……。
何冊かの本や青と白の花、クリーム?とか化粧品などがベッドサイドのテーブルに乗せられていて半自室化されてるし。
「しっかり栄養つけたら、また医務室のシフト回して頂戴。私もそろそろゆっくり休みたいしねー…」
『了解です、またすぐに復帰、』
「復帰しても次は産休になるように僕らの部屋戻ろっかあ!」
"復帰出来るようにしますね、"と続けたい私の言葉に悟は言葉を被せていく。硝子の表情が私と会話してた時の微笑んだ状態から真顔へと変わっていった。
「は?」
『は!?ちょ、悟…っ』
その後の硝子がどんな表情をしてるかは分からない。悟の顔を振り返ったから。
既に私を抱き抱えた悟は個室から出ようと進んでいて私には硝子が見えない。見えるとしたら進行方向にドア、私の目の前にはにこにことした足取りの軽い悟。
見えない位置の硝子が悟の問題発言の後に悟の背に向かって言う。
「……おい、クズの方の五条、病み上がりはちゃんと休ませろ。迫るのも今日は止めとけよ?しつこい男は嫌われるぞー」
「はいはいさー、適度にしますって適度にね」
片手で私の体をぎゅっと支えながら、ドアに手を掛ける悟。そのまま個室を出てスタスタと両手で抱えられながら進む。
医務室の外、通路は暖房がないってのもあって寒い。きゅっとより体を密着させた。
目の前の悟を顔を見ていたら、歩みを止める事なく私に視線を向ける。
「……ねえ、ハルカ。期待してる?」
あの言葉は…だって……。
『そういう事、じゃないの?あの…このまま部屋戻ったら、するの?』
だってそういう意味だし。パーティーの時の約束とさっきの硝子への言葉。どきどきしつつもその彼の顔を見ていれば、少し目を細めた悟は進行方向を向く。
「……今日は流石にしないかな。
僕もちょっと任務とオマエの介護と疲れてるし、久しぶりにえっちが出来るって張り切ったとしてもイイ所でしなびちゃったらつまんないもん。長い眠りから起きたてのオマエもゆっくりさせたいしねえ……」