第24章 ハロー、ニューワールド
229.
「──なるほど、ね」
何度もここで目覚めているから、流石の悟も学習をして硝子を呼んだみたいで。
部屋にやってきた硝子は私を見るなり立ち止まって、とても驚いていた。生きてるのか確認をするために脈を測ったりじっと目の中を見たり……本当に生きて体を起こしてる、と確認した彼女は非常に荒っぽく頭を撫で回してきた。「心配かけて、馬鹿野郎!」……と少し声を荒げつつ。
それからは目覚めたこの個室にて悟と硝子が居る前で、私が死ぬ寸前の記憶をふたりに記憶の限り話していった。ぽつり、ぽつりと。
……それでふたりの居る状態で当時の記憶を話終えたってわけで。
一ヶ月半程前の話って言われても、体感それ以上の日々を過ごしていた私。覚えている限りの話しか出来ないけれど脳裏に焼き付く経験だったから要点についてはきちんと話せたと思う。
死体に入り込む呪霊なんて初めて遭遇した。確かに様子はおかしかった、無防備に接近したらどんな目に遭ってたんだか…。
ベッド脇の椅子に座る悟と側に立ち腕を組んでる硝子。私の話を聞き終えた悟がはあー…と大きなため息を吐いた。呆れた表情をしてる。
「計画を組んで拠点に最低一人は、という事じゃなかったっけ?それがまさかひとりになる状況になってそこを襲われるとかどんだけハードラックとダンスってんの?」
『何もしてないのに来ちゃったモンはどうしようもないでしょ』
ひとりで対峙するには不十分だと、距離を取ろうにも取れなかったし呪霊が入り込んでた補助監督生は死んでいて死体を利用された、という事であの場には私しか居なくて。
最悪の事態だったから触れて祓ってやろう、くらいには考えてた。でもこっちから仕掛けるんじゃなくて、あくまでも最悪戦う事になったらの事。優先すべきことは考えてたし、その場での判断や行動については結構上手くやってた方だけれど。
うーん、と考える悟に硝子は事が終わった後だけれど提案をする。