第24章 ハロー、ニューワールド
真剣な顔は少しずつ柔らかくも崩れていく。
なんだろ、と私は言葉を繰り返す悟に釣られて『なんだけど?』とオウム返しをしてその言葉の続きを催促してみる。
にひゃ、と言っていいくらいにさっきまで泣き顔作ってた彼の表情ははにかむような、笑顔をしてる。
「怒りたいのに、嬉しくて説教が上手に出来ないや。キミの先生失格だね……、僕は」
『そんな事ないと思うよ?』
そうかな?と言いそうな、明後日の方向を見上げながら一度だけしゃっくりとしてる。
「ひとつだけ、これだけは僕に言わせて欲しい」
頬をむに、としっかり挟んだままに彼は私の顔を覗き込んでる。ふっ、と目の前の彼は優しく笑った。
「……最高のプレゼント、ありがとう、ハルカ」
『プレゼント……?え、今日って…』
「今日は七日。十二月の七日……僕の誕生日なんだよ」
ククッ、と喉で笑った後にそのまま頬を挟んだまま優しく口付けられて。重なる唇からの熱が私の心臓をばくばくと鼓動を速める。しばらくぶりな恋の感覚を思い出し、そして奇跡的な記念日での目覚め。そんな、まさか私は悟の誕生日に目覚めたの……?
ただ黙って目を瞬きながら驚く私の前に、至近距離のスカイブルーの濡れた瞳が笑う様に細められていた。