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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第24章 ハロー、ニューワールド


ちょっとキレた割にその乱暴な言葉とは裏腹に少しだけ力が弱まる本当は優しい腕。
私がしがみつく、回した手から伝わってくる体温と振動。悟の背がひく、ひく、と震えてる。ああ、彼もこう泣くんだな、と背に回した手で悟の背中を撫でた。

「オマエ、寝すぎなんだよ…、」

少し鼻声で、それなのに怒りを込めた説教のような言葉。
寝すぎ。それは言い返せない、言い返すつもりもなくて。

『ごめん…』
「冬眠かよ、起こそうにも全く反応ねえし!馬鹿!」
『うん……』
「馬鹿馬鹿馬鹿!心配かけ過ぎだ馬鹿!ばーかばーか!………馬鹿っ…クッ、ばか…っ」

今までで一番、子供みたいに泣きじゃくってる悟。声をこらえて少し抱きつく力が弱まる前ほどに戻った。
……こんな風になるまで悟には相当心配かけちゃったみたいで。

『心配かけてごめん……』
「……ば、…かっ…」
『ん、馬鹿なのは知ってる…』

ぐす、と鼻を一度すすった彼は抱きつく力は痛いけれども、密着する分温かい。
背中を撫でながらその熱が愛おしく感じる。

『寒いね、今は冬なんだね……』
「……そうだよ」
『どれくらい私は寝てたの?』
「……一ヶ月半。もう十二月だよ、ほんっとオマエ、トラブルメーカーすぎ……馬鹿野郎。許可なく勝手に死んでんじゃねえよ…二度と死ぬな……」

その悟の言葉に色々と察した。やっぱり死んでた、なのに今は生きてるのが不思議で。
……二度と死ぬな、は流石に許可とか関係なく約束は果たせないものだけど。

抱きついてた身体から身を離そうとすると、しっかりしがみついてた悟が私を離してくれる。目元が赤くなって、潤んでいて、少し私を睨んでた。ちょっと高専時代のあの生意気だった悟っぽい。

『やっぱり私、死んでたんだね……』
「……ん、そう。オマエ、一回目は多分心臓は治してたんだろ?その後の呪霊の攻撃で死んでた」

一度軽く頷く彼は少しだけ柔らかく微笑んだ。
けれどどうして呪霊の攻撃で死んでいるのにここに私が居るんだろう?聞かなくちゃ、聞かなければ。
ベッドの私が乗っていない部分に腰掛ける悟。その彼の手を掴み、泣いて潤む瞳をまっすぐと見る。
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