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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第24章 ハロー、ニューワールド


片手でアイマスクをさげ、立てていた髪が下りていく。懐かしいそのスカイブルーの瞳がよく見えるように瞼が大きく見開き、如何にも驚いたって顔の悟が側に居た。久しぶりに見た悟はかなり疲れてるような顔をしてて、少しだけ痩せたように見える。驚いてぽかんと開いていた口元はすぐに一文字に結ばれた。

『さと…る……?さとるだ、悟が居る……私、生きてた。生きてたよ…、』

私がこう目を開けるまでが一日二日じゃないのは分かってる。部屋で暖房が付けられてる、という事は季節は冬。一年経ったか二年経ったか分からないけれど、少なくとも十年とかそういう単位での時間は経過していない。彼は若いまま…竜宮城から帰ってきたみたいな、あまりにも大きく時が進んでいたというわけではなさそう。

起きられるかな、と上半身をゆっくり起こすと不思議とすんなり起こせた。何もかもがびっくりでどういう事だろう、と考える前に「ハルカ…っ」と悟に声が掛けられて彼の方を見る前には椅子をガタッ!と大きな音を立てて立ち上がったらしい悟に強く抱きしめられていた。

起こしたばかりの久しぶりの体の感覚。
……あったかい。部屋の中は暖房があっても少し寒くて彼の体温がとても馴染むような感覚。凄く心が落ち着く良い香りがする。髪がむずむずと当たってくすぐったい。
そうだ、この人だ。逢いたくても逢えず、突然の別れの中で未練たらたらに想い続けた人。
今、その一番安心出来る人に包まれてる、と思えばさっきまで泣いていたっていうのにまた涙が溢れてくる。そっと私も悟の背に腕を回した。悟に負けないくらいにぎゅううっ、と離れたくないという意志で抱きつき返した。

私の身体はどうやら五体満足、感じたままだと身体のパーツは一切欠けている事なく揃っていて、どこも痛む事がなかった。
……いや、痛いといえば痛いかも。ぎゅっと抱きしめる力が強くて。多分、私がしがみつく力なんて比べようがないくらいに。

『悟、痛い』

漏れた声に少し震えた怒りの声がすぐ間近から聞こえてくる。

「……~~っ、ンの馬鹿ハルカ!これくらいで痛がってんじゃねえよ!」
『はい…』
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