第24章 ハロー、ニューワールド
そう、諦めて俯きかける私に目の前に居る母は鼻で「ハンッ、」と笑った。思わず顔を上げる。
「本当に死んでたら、また戻ってくりゃ良いでしょ。だから身体に戻りなさいよ」
『……かっるいなあ……えっ、ゾンビだとかスケルトンみたいな状態なのかもしれないよ?それじゃあ生き返ったとか言わなくない?』
パンパンと肩を叩き、後押しするような母に引きつつ。
化け物になってるかもしれない、祓われる側になるかもしれないというのに。
「んなもん、体験して祓われたりして戻ってきて感想言えば良いのよ、面白そうだから感想聞かせて頂戴!」
『かーさん??』
涙も引っ込むわ。僅かに嗚咽を上げつつ、変わらず元気な母に呆れる。
急に生きてるって言われても動揺するってもんで。あれだけ希望を持っていたのが今では不安になっちゃった。
本当に生きてるか分からない。もちろん、問題なく生きてたというなら悟に逢いたい。ここに白装束で戻るならば今度こそ後悔の無いように生きてからにしたい。
ただ時間が経ち過ぎてる気がする。それに戻っても無事な状態で目覚めるかは分からない。腹にどん、と食らってたから自分で治せない状態で大きな病院に居るとか、体の欠損した状態であるとか…。ゾンビみたいなかんじだったりとか。
あと素直に戻るかって話。
ここの人ら、口々に生きてるなら帰れ、だとか次の世代を作れだとか好き勝手に言うから変にちょっと反抗もしたくもなるし。
『あーっ!うるっさいなあ!戻りゃいいんでしょ、戻れば!やっぱ死んでたら戻るからねっ!?』
こんな女ばっかでうるさい場所から抜け出そう。半ばヤケクソだけど、ずっとうじうじしてた気持ちから吹っ切れてもう一度希望を持ってそれから変な意地と共に"戻ろう"って願う。
……今度こそ上手に生きられますように。