第23章 突然ですが、さようなら
無防備な彼女はただ眠りの中で、頬や手、捲られた足など衣服が乱されながらぺたぺたと皆にありがたがられて触られている。
中には胸や腰も……。
「なに、やってんだ…?……は?コレ、どういう、事だよ……っ!」
ぎゃあ、とかキャア!とかの悲鳴。無限を回りに纏って安全なくらいに僕の信用出来るもの以外を拒絶して。ハルカまでの道を楽に進む。彼女は半分以上白髪化が進んでいる事は明らかだった。この大人数がけしかけたら……。
どうか、どうか無事で……、白髪化が進まないで、もう死なないで、生きて…っ!せっかく僕がハルカを生かしたっていうのにっ!まだ、僕はキミとの人生を進む一歩しか進めていないのに!
眠るハルカの手や顔に汚らわしい手でべたべた触る人達を払い、ベッドの彼女を横抱きに抱えた。
僕の腕の中のハルカは何も無かったように眠り続けてる。暖かい、呼吸がある。脈も正常だ。大丈夫、大丈夫だからね。
僕が守ってあげるからね……。抱き抱えたら少しだけ安心した。
「良かった、ハルカ……まだ、全部は白髪化してない……」
ハルカに触れようとするヤツらには無限で触れないように。彼らが僕達に触れられなくて困惑する中で僕はきゅっとハルカを縮こませるように抱きしめた。
ここの所、白髪化が進んでたのは呪いのせいじゃないな。いや、呪い以外にこういうヤツらのせいだったのかも。
そういえば昨日、喧嘩してる声……あれも今、この件を知ってから思い返せば、治せない病を僕の知らぬ間に勝手にハルカに触って治してたんじゃないのか?
……いつバレた?
僕が居ない間に、ハルカは抵抗も出来ないままになにかをされたんじゃないのか?頻繁に看護師が部屋に通ってたのも怪しい、僕目当てか?ハルカを穢して僕と繋がりたい子が居たのかな?
そう思えば初め、硝子も言ってた、検査をした担当医も怪しい。ここにいる人間の誰もが怪しいって疑心暗鬼になって信用ならない。
……コイツら、皆、敵か…?
ぽん、と僕の肩に触れる手。
たくさんの人らを拒絶するなか、無限を特別に解いてた傑とマリア。その傑が僕に触れていた。
「悟、顔。この猿共を殺さんばかりの目、してるよ?」