第23章 突然ですが、さようなら
「……なーんか、診断ミスでもあったのかねえー?それ聞いちゃうとこの病院なんだか心配だなー…転院する事も考えるかね、」
立ち聞きを止めてその場を離れる。今日はこのまま帰ろう。明日、急だけどマリアに来てもらえるか連絡をしておこう。少しでも不安の種は取り除かないともしもって事があるしね。
病院から出た僕は病院の周囲の呪いを祓って、そのまま寮へと向かった。
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今日も学校が終わった後にハルカの元へと向かう。
いつも僕ひとりだけれど今日は人数が多い。僕の他に傑とマリア。リベルタのアジトで回収した呪力圧縮装置…まあ、バッテリーね。それを傑に持たせて。
「悟、確かに私もハルカのお見舞いに行きたいって行ったけれどね?」
「いやあ、荷物持ちが居るとラクラクチンだねえ~」
「結構重いんだけれどなー?」
ちょっと苦笑いをしたマリア。僕は少しズレたサングラスの上から傑を見て、舌を出して笑っておいた。
「じゃんけん負けたろー?だから小学生のランドセルが如く、バッテリーを持って貰ってんの。僕も荷物持ってるしオアイコですぅ」
僕の片手には控えめな数本の花束。白と青の花、ハルカの側に僕を隣で感じさせたくって買ってきたものを持ってる。
まあ、傑の5キロくらいありそうなのと比べれば花束ですんで?すっげえ軽いんですけどっ!
傑を見れば眉間にちょっと皺を寄せつつも口元はひくつかせて笑ってた。
「急に目的も言わずじゃんけんして重いものを寄越す馬鹿がどこに居るんだい?あ、ここに居たね」
「馬鹿じゃないしー天才だしぃー天才最強の五条悟です」
「天才最強って書いてバカというルビ振るんじゃないのかな?ん?」
……なんてほぼ男ふたりでぎゃあぎゃあ賑やかに騒ぎながらハルカの待つ病室の階へ。
いつもと同じ、そのはずが通路を歩いている時に静かな病院が今日はどうしてか騒がしかった。
「ハルカって個室なんだろ?悟の我儘で…」
傑の質問に頷く。彼女は個室だ。
数歩、足を進めればハルカの部屋前に人が見える。入院着の人……患者達とそれを止めようとする看護師達。一瞬僕たちを見た看護師はぺこ、と頭を下げるもその患者達をその場から離れさせようとしても患者は言うことを聞いていなかった、ここまで聞こえる罵詈雑言。それには僕たち三人は目を合わせあった。