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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第23章 突然ですが、さようなら


「この子はただ居るだけで呪いを呼び込む。こうして助かってもいつだって危険なのはずっと変わらない。きっと病院での眠ったままの生活じゃ結界の無い分、あちこちの呪いをかき集める。そうなれば見えてくるのは高専内で匿うって事だろ?
生命維持程度なら高専内で出来るけどさ。
もしも脳死を迎える時、下手したら五条の意志でハルカの生命活動を停止させることになる未来もあるかもしれない。五条とハルカの両者の意志の元、子供は作ってないだろ?この子の免許証の臓器提供の意志を本人がいくらしたって春日の血が他人にどう働くか分からないからそれも無理、提供なんてできっこないからハルカが生きた証は人に譲渡することが出来ない。
それでもこんなハルカをお前は大事にし続けられるのか?」

非術師の世界にずっと寝かせて居られないという事。
もしも脳死を迎えてしまった場合は僕にも蘇生の仕方は知らない、つまり生きさせようってこちらから干渉が出来ないという事。
その場合、彼女の生きた血肉が他人に譲り渡す事は出来ないという事。僕たちには子孫も居ない、だから止まってしまった彼女は本当の終わりを迎えてしまうって事だ…。

残酷な事だけれど、そう言われるだけの事を僕はしている。
硝子から目を反らしたかった。

「……なあ、五条。こうなる事も含めてお前は二時間近くもハルカを生かそうとしたかったの?」

硝子は僕に彼女を生かすな、と言いたいんじゃなくて覚悟を聞いている。きっとそれは誰もがハルカの状態を知れば聞きたくても聞けない事を身近な硝子が代表して聞いてるんだ。硝子じゃなかったら多分、傑が聞いてただろう。
僕にはこれから先の事は分からない、だってハルカを失いたく無かった、ただそれだけの為に行動していたから。
格好良くスパッ!と言い切れる覚悟をして心肺蘇生に望んだんじゃない。ただ、僕はただ……。
ようやく僕は硝子から視線を外した。瞼を閉じたハルカを眺めた。

「今、は……今の僕には。これから先の事なんて……ごめん、硝子。僕には何も言えねえ、」
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