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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第23章 突然ですが、さようなら


『そうだね。春日の一族が滅ぶべきとも、このまま一族がこの形態のままに続けるのとも違うと思うんだけど……』

時代が進めば思想は変わる。古い世代にはその思想は伝わらない。それは私が生きてた時も感じてた。電車に乗ってればおっさんとかが「最近の若いモンはどこでもピコピコがとまんねえんだなっ!」って携帯をいじってる人にキレてたり、会社で表計算をしていれば「電卓を使わないでそんなに早く出来るのはハッカーってやつか?」と勘違いされたり。便利だとか、新しい世代の当たり前を受け入れない人は一定数居るのは確か。
そういう人達よりももっと古い人には受け入れられるのは相当変わり者だと思う。進化を認める人ならば私や母の意見も……。
そこまで期待してその考えを母に伝えようと唇を開いた所でまた閉じる。

そっか。死んでしまった一族が変わろうとしないから、古い考えを繋ぎ続けたから私達まで繋がってるんだ。自分で理解してこの呪われた領域の解呪が不可能であると知り、振り出しに戻る。説得するにはものすごい労力と時間が必要で一代程度では考えを変えることは出来ないんだって。
それはある意味では、変えたいと思う代から子にその考えを伝えて血を繋いで行けたなら一族から生まれた呪いはやがて解呪するかもしれないという推測する希望。
……まあ、もう私以降に世代を繋ぐことが出来ないんだけれどね。無理な希望だよ、その解呪するための方法なんてさ。

なんだか、良くわからないけれど変に胸騒ぎがした。ドキドキするのはなんだろう?この空間に期待なんて持てないのに。
心の奥底で悟を想う。逢いたいと思うのにもう二度と逢えないかもしれない。死んでない!って何度も戻ろうとしたのに現実の帰り道が分からなくて。もう、戻ろうってチャレンジするのは無意味な事かもしれない。
視線が枯れた大地に向いてた。それを上げて母を見る。

『母さんはさ、』
「……ん?」

透けるくらいにうっすい白い布。顔に掛かったまま母を見ると母はその布を自分で捲った。この空間に先に来ていて慣れてるのか、表情はリラックスしてるようにも見える。私は母のようにまだ自分で捲れない。うっすい布は少し湿ってる。
……泣き顔をわざわざ晒す必要ないし。

『死んですぐ、父ちゃんに逢いたいって戻ろうとした?未練があってまだ死んでない!ってここから現実に戻ろうとしなかった?』
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