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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第23章 突然ですが、さようなら


「……彼女をやった呪霊は?」
「既に俺が祓い終えた」
「……そっか」

このやり場のない気持ちをぶつける相手すら居ないなんて。
……今は冷静にならなきゃ、と頭を働かせる。深く目の前の光景のみを考えちゃいけない、まだ死にたてならいくらでもやり方はある。私情でこの場を乱さないようにしなきゃね…。今は皆忙しいんだ。僕とハルカの為に全員を巻き込んでもしょうもない。重要な彼女の件は運が良ければすぐに、悪ければ長期戦となるかも。なら、やるべきことを先に終わらせなきゃ。
僕は自分の上着にハルカの血をなすり付けてスマホを取り出し、硝子に電話を掛けた。

「もしもし、硝子?暇?暇だよね、なるべく早めに京都駅に来て。こっちの任務に怪我人治せる人がちょっと居なくてね、結構な人数負傷者が出てんのよ」

急だな!?とかハルカは?とか聞かれたけれど。文句も疑問も今は大きなイベントも気にしなきゃいけない。各地からの呪術師達が大人数でやってんだ。
僕が俯けば死んだハルカが目に映る。硝子に頼み込む僕の声が小さくなっていくのを感じた。

「……頼むよ、硝子。ハルカの様に治療に特化してる術師はオマエくらいしかいねえし」

僕の頼みを聞いてくれるのか。ふう、とため息を聞いた後に"分かった"という声。

"五条…、仕方ない。後で手が空いた時に説明しろよ…、今から急いでそっちに行く"
「うん、さんきゅ。じゃあ、こっちで……切るよ?
……ふー…よし、治療員の確保は出来た……あとは、新米呪術師達の配置し直しか」

スマホをしまって、立ち上がって。報告書を前にした補助監督生の所へ行く僕の腕を憂太が掴んだ。表情に少し軽蔑の色が見える。理由は分かるよ、いくらなんでもこの状況だしね。

「五条先生……彼女を大切にしてたんじゃないんですか…?ハルカさんをこんな風にされて、よくもそう冷静でいられますね?」

ぎゅう、と少し力の込められた手。憂太以外にもそう思う人もきっと多いだろうね、大切な人をこんな状態にされてあっさりとした反応で…冷静に無かったみたいに振る舞ってるのは。
その手に僕は手を重ねる。
……今の僕が悲しんだり、怒ったりしてもなんの意味もない。重要だからこそ後回しにして集中したいってわけなんだよ?
それにさ…。
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