第23章 突然ですが、さようなら
「本格的なラジオが始まる前に終わって良かったです」
「冷たいな~、初回は寝てるハルカのベッド周りでサンバを踊った時の彼女の反応とか話したかったんだけど?」
なんだかちょっぴり塩対応になっちゃったな、憂太。僕の担当クラスにやってきた時はおどおどしてたのに。心が成長したのかなあ。寂しいなあ…
ちら、と僕を見た憂太は聴こえてなかったのか、駅方向へと進めてる足。
慌てて隣を僕は歩く。
「聞こえなかった?もっかいリピする?」
僕の言葉に移動しながら憂太はちら、と見上げた。
「聞こえてますよ。ハルカさんに言いますか?五条先生がプライベートのハルカさんの様子を皆に言いふらしてる事とか。
いいんですか?なんか彼女、新しい格闘技習得しようとしてませんでしたっけ?」
「やめて?ハルカやる時は本気で技キメに来るから。しかも痛いし」
可愛くてちょっかい出しちゃう僕にたまーにマジギレするハルカ。大抵は笑って許したり、ツッコむ程度だけれどやりすぎないように調整はしてる。流石にね、しつこすぎて嫌われたくないし……。
ちぇー、と口を尖らせながら憂太の側で歩幅を合わせてのんびりと駅までの道を進む。治安の悪い道から賑やかな歩道…大通りへ差し掛かった所だった。
僕のスマホがブブブ、と鳴ってる。ハルカからかな?
僕を見てる憂太ににっこー!と笑ってスマホの画面を見せておく。
「噂をすれば愛妻ちゃんからでーす!寂しんぼめっ!ダーリンの声が聴きたいみたい!」
「……早く出なくて良いんです?」
「出るよ、出る出る、パチンコ玉みたいに出ちゃいますよー!」
「パチンコ玉て……」
まあ、多分業務連絡的なものだろうけれどさ。それでも声を聴くのは嬉しくて。
あー、のんびり歩いてないで早く駅に着いて、恥ずかしがるだろうから物陰でハルカの事、ぎゅっーと抱きしめたい。小さくて(本人は平均以上はタッパありますーって言ってるけど)柔らかくて、良い匂いで安心できて……。
愛おしさも極まると体の内側からぎゅう、とこみ上げる嬉しさがあってさ!