第23章 突然ですが、さようなら
218.
──それは僕にとっての青天の霹靂。
ハルカと忘れ物の挨拶(キス)をして、憂太とダベりながら担当配置に入って。ヨユー、ヨユー!と羽アリの駆除業者みたいに発生源を見つけては呪いをサクサクと祓っていった。
低級の呪いだろうが呪霊だろうが任務は遂行しないと。んで、早くさっさと終わらせて大好きなハルカと合流したいから、簡単な任務だからって遊んでる場合じゃないし。そもそも遊んでたら怒られるし。
今日は買い物してただ寮に帰るのも良いけれど、そこから忙しく部屋でご飯作るのも面倒くさい。祓いながら今日のアフターについて考える。何食べよう?
「やっぱり外でご飯してった方が良いよね~?」
"ピギィ!"
「うん、オマエに聞いてなーい!そもそも低級程度と会話なんて意味ナシ&リームー!」
パンッ!と弾けるように呪いが祓われ空気に溶けていく。僕へと降りかかろうとした体液が無限に阻まれて空中でぶよぶよの水滴となって止まり、下へと垂れ地面に落ちる事無くゆっくりと消えていく。
「……」
ここからでも他の呪術師が仕事してんのが充分に分かる。アイマスク越しに見える皆の働き、珍しく葵が怪我をしたみたいで駅の方に移動してった事とかさー。
はっと気が付けば僕の周辺には呪いなんて無くて。
「……おっと、なんだかんだで僕ん所の相手、もう居なくなーい?最強への挑戦者はゼロ?」
帳の中で炙り出された呪いを全て祓い終えてて。
実際はさ、呪いが祓われてくのを見て呪いが物陰に隠れてんの、怯えちゃって!これは面倒くさいですねえ~。
「なんてね、全部祓い終えるまで帰れまテンでしょ~、はいはい虱潰ししていきますよーっと。仕事はしっかりとしないと怒られちゃうもんねー」
よし、だいぶこの辺りも減ったろ。そっと手を胸元へ、そのまま印を結んだ。
……それよりもここに来る前に憂太と離してた話が途中だった。この残ってる呪いを祓ったら憂太の元に行って続きでも自慢しよっと!
四方からプチッ、という音に似た潰れた音と気配が消えたのを確認し、ポケットに手を入れてこの場を去る。眼に感知出来る僕からの風景。憂太んとこも減ってる。里香ちゃんを喚ばずとも余裕で呪具で祓ってるみたいだ。