第23章 突然ですが、さようなら
腕を押さえ、片足を引きずる三輪。悟が言うにそんなに強くない呪いを数を多めに狩る任務だよ、とは言ってたけど呪術師がこうなってんだ、あいつテキトーな事抜かしてない?特級呪術師にとっては強くなくても普通に強い相手のような感じするんですけど?
近年、一年のうちで一、二を争うレベルでこのハロウィンの時期が呪いが活発になる、という。お盆の時期がトップであったけれど、着実に定着し始めてるハロウインは元からの意味やよりグロテスクに、という仮装、様々なフラストレーションを抱えた行事。中には心霊スポットにまで行く物好きも。そんないろんな感情の絡む時期だからこそ人間並に呪いも賑わうんでしょ。
たった一日、というよりもフェアだったり、数日毎にイベントを分けたり……それが呪いがあちこちに大量発生する原因になってるんだとか。
背を少し丸くしてる三輪の肩に触れると、押さえてた手を離して元気が戻っていく。記入して居る時に覗き込めば推定一級相手とか書いてあって、悟がいつものテキトーを言ってた事を知る。強い相手じゃん!
こうしてここで治療を終えた呪術師は一分足らずに私に触れられ、全快した後すぐに現場に戻っていくってわけで。私が現場に行って回れば良いんだろうけど私はひとりだし瞬身の術だとかそういう忍者じみた事は出来ない。悟みたいな術式も持ってないしね。
怪我も治り全快になった三輪。戦線復帰タイム、小走りに元来た道に向かいながら振り返って軽く手を振ってる。「ありがとうございました!」…と。そんな元気な彼女に軽く手を振って、椅子に座ってる人へと触れに行く。
治療する優先順位として重傷者。重傷者が居なければ次に優先するのは最前線で呪いを祓う呪術師を。
そう聞いていたので待っていた重傷者はおらず、やってきた呪術師で重傷者であった三輪を優先的に治してたってわけで。
触れて、治して。触れて、また治して。
待っていた人達はどんどん減っていき、皆戦線復帰してガラガラな仮本部。
自身の髪の式髪の様子の確認を怠らずに、新しくやってきた術師や、窓を治していって…。
『誰も居ねえやい』
治療対象がもう居ない。
手伝いや本部としての電話を受ける呪術師と交換しに来た新田がやって来た。
やって来た、といってもすぐに電話を受け取っていた。なんていうタイミングなんだか。状況を把握前に本部用の電話の通話を切って私を見る新田。