第23章 突然ですが、さようなら
僕の腕を掴んで抵抗するハルカ。
あはっ、からかっててほんっと楽しいんだけど?付き合う前の時と似てる反応、いつだってキミと過ごすのは楽しいもんで。
けど膝で僕の脛をげしげし小突くのは地味に痛いから止めて欲しいなー。ハルカと過ごす時だけは僕だって無限を解く。触れる時はやさーしくして欲しいのっ!
「ンもーう!暴れちゃ、メッ!だぞ、バンビちゃん!」
「五条先生、何やってるんですか!?早く行きましょうよ……っ」
『そうだよっ、私は奈良の鹿じゃないんだ、忘れ物ってニーブラされる必要ないでしょっ!』
ぶーぶーうるさいな~、そういう騒がしいおくちは早く塞いであげないとね?
忘れ物である大事な儀式はここから。これより作業分担の為に離れる今、この場でしなきゃ意味がなかったからさ。一応、人がはけるのを気遣ったんだよ?
空いたもう片手でハルカの顎を掴む、むにっ!とした柔らかな肌。そのまま僕は顔を傾けてハルカの唇へとキスをした。キスをする寸前、より一層抵抗して観念して動きを止めて。ちゃんとキスをする時は分かってるよね、唇が離れた瞬間は僕じゃなくて側の憂太に視線がいってたハルカ。ぽぽぽぽ…と音が出そうなくらいに真っ赤になっていく様子がなんとも可愛くて。
「ほら、忘れ物の行ってきますのちゅうの忘れ物だよ?ハルカも言ってよ、"いってらっしゃいダーリン☆"って!」
直ぐ側の憂太がどんな表情をしてるのかは分からない。だってずーっと僕の視線(アイマスクしてるけどネッ)は彼女に向けたままなんだし。
沸騰でもして蒸気を上げそうなくらいに、秋の紅葉ばりに真っ赤になったハルカはすっごくか細い声で呟いた。
『……いってらっしゃい、きくふく』
「ワンちゃん感覚で使わないで下さいますぅ~?お土産買って来ないぞー?」
顎を掴んでた手でわしゃわしゃーっと頭を掻き乱すように撫で回し、ちょっと抵抗した彼女を完全に解放して。ああ、満足!新婚サイコー!バンザイ、キミに出会えて良かった!もー、死ぬまでハッピーだよ、コレ!