第23章 突然ですが、さようなら
215.
──京都府、とある駅にて。
ここまではハルカと共に行動してた僕達。僕はこれから憂太と現地へ。ハルカとはこの駅で一度お別れとなる。今日はちゃっちゃと終わらせて一緒に買物をして帰りたいなあ。いつも夕方に部屋で会っておうちご飯してるし、外で食べるのも良いかも。
各地に散らばる呪術師が昨日・今日との二日間こっちに派遣されてる。昨日応急処置された術師が僕たちより先に治療を終えて現場に向かってるってさ。仕事熱心ねえ…。以前とは比べ物にならないくらいにハルカも治療を済ませるからさくさくと万全な状態に戻った術師が出発していく。僕たちと一緒に行動して駅に着いたハルカは早速治療の為に待っていた人達を治せばそいつらはすぐに戦線復帰の為にこの仮拠点から出ていくんだ。こうしてハルカを待っていた人達が居なくなって、ハルカの護衛兼連絡係の呪術師がひとりだけになった。
「五条先生…、」
「あーうん、憂太。言いたいことは分かるって!」
少し焦りを見せる憂太。ちょっとくらい遅れたって良いのよ、こういうの。だって特級である僕達にとっちゃ強さではなく数との勝負。強い僕らはさっさと終わらせられるし。ただ数が多いのをさくさく祓い続ければ良いだけの話で長期戦になるって事。ならそれだけ色々消費するんだ、働く前に癒やしという補給くらいいいだろ?
まだここに居る僕らを見て、簡易的なカルテのようなものを記入し終えたハルカが少し歩幅を大きくして僕と憂太が仕事っぷりを眺めてるここにとズンズンとやってきた。
『こら、悟のサボタージュに乙骨先輩を巻き込むな……乙骨先輩すみませんね、今日もうちの28歳児がまーた粗相を、』
「あーそうやって飼い主アピしないでくださるぅ?僕、ただのサボりじゃないもーん!忘れ物しただけだし~?」
苦笑いする憂太に少し眉を下げてふざけつつも謝ってるハルカ。
そう、"忘れ物"。忘れ物をなんとかしたら僕は行くよ?
指先でちょいちょいとハルカを招く。怪しいって警戒してるのか訝しむ目付きと眉間の皺。それでもじり…じり…と近付いてくれてる。
そんな野性的な警戒心丸出しのハルカを素早く片腕で捉える、首をホールドするようにしてがっちりと。
「ニーブラ!」
『ぎゃああっ!』