第23章 突然ですが、さようなら
「激しいえっちをするとオマエ、とろっとろになって正直になっちゃうよねー?ろれつが回らなくなって、僕の名前もたまに言えなくなるくらいに感じて、喘ぎながら腰振っちゃって……それくらいになるまで、頭が馬鹿になるくらいにイカせて質問しよっか?」
『すいませんそれだけは無理っ!』
気持ち良すぎるのもどうなんだってくらいに愛されるのは御免で。あまりにも激しいと変な汁が噴射する、それで借りてる部屋のベッドにシミとか付けたくない。
私が悟の脅しを否定すると、じっと覗き込むように顔を近付ける悟。
「……で?なーに隠してんの?」
言うしかないのか、と肩を落としつつ。
『その……、りょ、料理を、失敗しまして…』
……私をじーっと見つめてくる、綺麗な瞳から視線を外して。
すぐに戻るだろうって思ったら、医務室を出ようとしてまた新しく怪我人が…と続いて。学長も来ちゃって。
そして生地を今度作る用に持ち越そうとちょっとケチってたって事。その私が用意した分量では加熱しすぎであった事が重なって、本来なら"しっとりとしたブラウニー"だったものが焼きすぎて所々、僅かに主張する飛び出た生地を黒いダークマターにしてる焦げ目。
一応ね、味見はしてあるんだよ…?
ただ、焼き過ぎでその黒い部分の糖分が炭に置き換わった為にビターな味となり、ちょっと炭が口の中でシャリシャリ言うんだわ。更にケチった分間が熱が良く通ったせいか。ブラウニーは焼きチョコへと進化を遂げていた。
いや、焼きチョコを作りたかったわけじゃないんだけどっ!香ばしい炭化した匂いがなければ良い……焦げた風味がちょっと気にはなるけれど美味しい、食べれなくはないお菓子。けれど部屋を満たすは、オーブンを開けた瞬間からの甘さと苦味の香り。鼻孔に届く明らかな失敗作の残念なお知らせ。
その瞳を瞬き、パチクリと音がしそうな悟が私の顔を覗き込む。
「えっどれ?」
『………無いよ?』
「ふーん、へー、そうなんだー…ここでウコチャヌプコロしちゃう?」
『やだ。ウコチャヌんないで』