第23章 突然ですが、さようなら
お土産を受け取りビニール袋を広げて覗けばふんわりと柔らかそうなまるい姿が見える。とりあえず今食べるわけじゃないし、食後に食べるから冷やして食べたい。冷蔵庫に突っ込もう。
そう思って受け取った袋を下げて室内に進む。後ろからは悟が着いてきてる。その悟がスンスン、と分かりやすく鼻を鳴らしていた。
「なんか……甘い匂いしない?」
『気のせいじゃない?』
スン、スンスン…と空間の匂いを嗅いでる悟。片手でアイマスクを下げると青い瞳がじろじろとあちこちを見回してる。
「いや、気のせいじゃないと思うな?オマエ、なんか隠してる?」
ぎっくゥ……!いや、感情を乱すな、ここは平常心、平常心。そう心に言い聞かせ、なるべく笑顔になろうと試みて、悟から向けられた不信感を首を振って否定した。
『なんも。悟の鼻腔内に砂糖の鍾乳洞でも出来てんじゃないの?』
「……怪しい、すっごく怪しいね、オマエ……」
うわ、面倒くさい事に怪しまれてる。
悟はじーっと顔に穴が開くくらいに見つめてきてるから目を反らした。すると、頬に生暖かいモノが這った。
『ひゃあっん…っ、な、何をすんのっ!?』
急に舐めてきたからびっくりして変な声出たでしょうが!
ちょっとキレつつも悟を睨む。自信たっぷりの表情だった。
「この味は…嘘をついてる"味"だぜ!五条ハルカッ!」
『黙れブチャラティ!』
声が悟にそっくりだからって何してくれてんだ、と彼をキッ、と睨むと愉快そうにケタケタ笑ってる。
「僕に嘘の味は分からないけど隠し事してんのは確かだろ。正直になっちゃう方法しちゃうよ?ゲロるなら今だけど隠してる事言いな?」
正直になる方法…?なんだ、呪術かな、薬かな?スティッキー・フィンガーズを使えるわけじゃないんだから拷問ってわけにはいかない(どちらかっていうと私の方が拷問に長けた呪術だと思うし…)悟の言葉に首をかしげるとにっこりと嬉しそうに笑ってる悟。私の両肩にぱんっ!と手を置いた。