第23章 突然ですが、さようなら
モップの柄を握り、動かすのを止めて新田を見る。彼は私の荷物も医務室に運んできてくれた。おかげで教室に行かずともこのまま帰れる。超ありがたい…!
新田の伝言をしっかりと記憶して、明後日についてを良く考えたらひとつ思うことがある。
任務に行くって事は高専から離れる事。その間高専での治療は出来ないから……。
『あー…じゃあ明後日は医務室にマリアが来るから、応急処置した人を高専に帰ってきてから治すって事かー……忙しいな、明後日』
「あー…そうもなる、か…。俺が言えたことじゃないけどあんま無理せんで下さいね。
あ!あともうひとつ重要な事なんですけど、明後日に関しては五条悟も参加らしいです」
明後日は割と規模が大きいらしく、特級が参加との事で。東京は傑がハロウィンが近付き騒がしくなった呪いを祓いつつ都内で待機、そしてこっちは悟や乙骨も参戦しての任務なんだって聞く。やっぱハロウィンって禍々しいコスプレに惹かれてくるのかな、呪いも。当日が待ちきれなくて出てきて、商売じゃないけれど祓うというサービス業が忙しくなるんだな…この呪術の関する業界は。
今年からその業界入りという事で勝手がちょっと分からない私は、悟が来るという事について新田にウン、と頷いておいた。
「じゃあ、お先。俺はこのまま帰ります」
『はーい、お疲れ』
片付けを手伝おうかとした新田を断って、彼を先に返して。
聞いた任務に関しては悟も参加するって事は、私がその任務に居るという事を彼も知ってるんだろうな。ベースキャンプに私が居る、としても重要な戦力の悟は前線に行く。強いし、怪我をしたとしても自分で治せるし…。流石にふざけて私の側にずっと居るわけじゃないはず。
たくさん治療するというのだから忙しいだろうし、以前言ってた適材適所の任務。場所は違えど頑張ろう!
水の溜まったモップ用の四角いバケツでガシャガシャと濯いで、足元のレバーを踏んでモップを絞る。砂埃などでの泥に血の赤が入ってにごってるバケツの中、汚れた水を捨てたらとりあえず今日は上がろう。
……例え放課後でも緊急の電話があればまた医務室に来る事になるけれど。