第23章 突然ですが、さようなら
212.
放課後前のホームルーム。明日の…というよりも明後日の任務についての連絡事項があった、らしい。
それは明日・明後日と任務があり、明日に関してはマリアも居ない日であって私は寮もしくは医務室に待機という事になっていて、一年の新田は任務先に入るからこそ、明後日についてをホームルームで伝える機会がないから…という事で。
で、明後日については私も任務に行くという話。ただ、任務先の安全な場所…ベースキャンプ地(仮本部)にて待機という事。お留守番に定評のあるルイージか?と暇を弄ぶ事になるのかと心配していたけれど、ハロウィンが近く浮足立った街中…怪我人も多いという事で治療が忙しくなるという事を新田から聞いた。
去年までは京都に硝子が出張していたらしい。硝子はもちろんひとりしか居ないから日時を少しずらして京都と東京、それぞれ呪いを減らし、当日に一気に祓えるようにとの作戦だった。それが今年は京都に行くのが私になったってワケで彼女の負担が減るとの事。
…で、連絡事項があった、"らしい"って言い方になってるのはそのホームルームの最中に私が医務室に召喚されたから。なるほど、私がこの時期にこっちに派遣された理由が分かる。来てから日に日に忙しくなってきた。重傷も多く、高専に運び辿り着く前に亡くなった人もいた。
今日一日だけで授業を抜け出した回数、8回。お昼中も放課後間際の時も関係なく呼ばれてしまって、医務室に今、こうしてわざわざやって来てくれた新田からその件を聞いていたって事。
「……って事なんで。明日は待機、明後日は高専から車で移動、現地のベース地での治療頼みます…って事です」
『新田、ありがと。聞いてなかったら明日の朝、ハブられたか?って悲しんでたわ』
「いや、俺経由で伝えてくれって言われたからで先生が意図的に伝えないわけないっしょ……」
まあ、それもあるなあ。床に落ちて汚れてる治療前の血痕をモップで拭きながら新田の話を最後まで聞いて。今日は京都で最初に治療をしたご婦人からスカーフを借りたっていう男、ヒサカイという補助監督生を治療してた。呪術師が任務に行くために調査をするのに、補助監督生もいつも以上に命がけだ……。