第23章 突然ですが、さようなら
「自分の意志から目を逸らさないでしっかりと意志を貫いて生きなさいよ!春日っていったら先祖代々、女でやって来てんだからあんたもしっかり気を強くもってやってきなさい!女としての自由を諦めた可愛くない生き方してどうすんのっ!」
「西宮、」
「加茂君はちょっと黙ってて!
……いい?ハルカちゃん。自分の本音に耳を傾けないで狙われるから、呼び寄せるからって諦めて東京の方にこもってるんでしょ?」
それは…遠からず。近すぎず。その理由もあるのだけれど一番の理由は口に出していない。ふっ、と彼女から視線を反らすと「ほら!」と西宮はちょっと怒り気味に言う。
「ハルカちゃんの本音はどうなの!?京都に来たいんじゃないの!?」
『あの、えっと……』
迫りくる西宮。肩に手を置かれたままに胸程の位置で両手を向けて制止しつつ。
『まあ…呼び寄せる事に関しては祖母を私に降ろせば逆に近付けないように出来ます。狙われる件についてはこっちに居る時は歌姫さんやマリアと行動してるから買い物も行けるし……京都も良いって思います。美味しいものはたくさんあるし、まだ観光も充分にしてないからもっと堪能したいし。
けど実の所、悟の問題が一番ですかねえ……』
こっちの人らは知ってるのかどうか分からない。悟は夕方くらいに寮に来て、早朝に東京に帰ってるって事。
加茂も西宮も揃って、ん?と首を傾げた。
「どうしてそこで五条悟が出るんだ?」
『あの人、この二週間って期間中、おそらくは一日置きにこっち通ってますよ、寂しいからって。休日は寮に潜んでたとはいえ、ずっと一日置きに東京と京都を往復してます。夕方に来て早朝に帰ってって……だから、京都に転入したらどうなるかなんて分かりますよね?』
途端に驚く西宮は置いた手で私をガンガンに揺すった。ぐわんぐわんぐわん…頭がもげる、やめて。