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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第23章 突然ですが、さようなら


ええと、西宮の名前は分かるけれど。加茂の方は下の名前どういう漢字だったかな、と本人に聞き取りつつ。少しだけ雑談を挟みながら書類を進めていった。
西宮が少しだけ呆れたような、乾いた笑い声を出す。

「学長がやけにあんたに拘るのがなんとなく分かるかも。ハルカ、って言ったわよね?ハルカちゃん、東京からこっちに転入とかしないワケ?」

人体図に丸を付けつつ、本人に他にどこを怪我していたかを確認しながらだった。そう言われて少し考える。確かにそうスカウトされる声は結構聞く、でも……私としては東京が一番いい。
東京なら過ごしやすいし、実家もそんなに遠くないし。悟だっていつも一緒、クラスメイトとも仲良く過ごせてるし先輩達とも関係は良いはず。
……けれども京都には京都なりの厳しい現状があった。今日、それを実感してこっちで治療をするに至って皆が少し驚くワケを思い知った気がする。硝子は硝子で東京に長く固定されているから、狙い所は私なんだろうね……反転術式で他人を治せる呪術師は他に乙骨がいるけど、彼は彼で等級の問題で任務で忙しいみたいだし。治療よりも戦う方が彼の得意分野だとも聞くし。

ちら、と西宮を見て、私はペンを握ったままに動作を止めた。

『今は転入の予定は無いですけれど。今回みたいに期間を設けての東京から京都への出張をするんだったら良いかも、とは思ってはいますよ』

私だって悟と離れるのは寂しいし。あっちに慣れてるし……。京都にたまに来るくらいなら勉強も遅れる事なく良いんじゃないのかな。治療で忙しくて呪術の座学に穴を開けたならば彼に補習という形で学び治せるし。放課後に稽古もしてもらえるし。
西宮はふーん、と相槌をして、次に私に声を掛けたのは加茂。西宮についての書類はまだ終わってない、ペンを進ませながら視線を紙面から加茂へと移して。

「式髪での術式治療では貧血などの治療も可能なのか?」
『春日家……というか私自身が血を消費した、代償の補填に使うのは出来ないですけど。他の血は普通に補充くらいは出来ますね…ほら、腕が斬られたとかそういうのも再生して治療も出来るので…」

備考、とくになし、と記入して加茂の書類に取り掛かる。本人と喋ってるから人体図の怪我を負った箇所の確認もしていこう。さらさらとペン先を進めていると、加茂はふふっ、と声を出して笑う。
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