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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第22章 キミは蜘蛛の巣に掛かった蝶


『……はい、ハルカです』

いつものようにそう名乗れば、携帯の向こう側で一呼吸分の沈黙と呼吸音がひとつ聴こえて。

"京都、三年の加茂だ。私の他に同じく三年の西宮の二名、任務にて負傷をしたので医務室に来ている。治療を頼みたいのだが、医務室へ来られるか?"

ああ、交流パーティーの時に話をした御三家のひとつ、加茂家の。そして同じ三年の西宮。今回は補助監督生ではなく呪術師…、三年が任務で怪我をしたのか、と座っていた椅子からギギ、と音を立てて私は立ち上がった。
教師に軽く手を挙げて見せる。黙って頷かれ、わたしはぺこ、と小さく頭を下げて通話のままに医務室へと急いだ。

『今、一年の教室からそちらに向かってますので医務室で待っていて下さい』
"ああ、授業中だったな、急に呼び出してしまい、すまなかった。では私達は医務室で待たせてもらおう"

ぷつ、と切れた通話。廊下を走れば、私のブーツの音だけ静かな空間に響く。走りながらに携帯をウエストポーチに突っ込んで目的地へと急いだ。
廊下を走るな、とかよく聞くけれど。私の場合は救急車みたいなもので校内を走っていても基本悟以外に怒られる事はない。そもそも緊急時以外に授業中に廊下を走るなんて事はないしね、走る時は大体が何かが起こった時であって。
悟だけは例外、ふざけて「廊下は走っちゃ駄目ですよー!」って注意してくる、私は小学生かっ!朝の黒板に今日の目標に"廊下を走らない"とか書けってか!?

タッタッタ、と走ってきて医務室前にやってきて、ドアに手を掛けて。
開けて入れば包帯の目立つふたりが、ドアを開けた私を勢いよく振り向いて待っていた。軽い怪我なんてもんじゃない、呪術師である先輩達でこうも怪我をするなんて…と一瞬立ち止まり、私は固唾を呑み込んだ。
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