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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第22章 キミは蜘蛛の巣に掛かった蝶


『はい、これで終わりです。手当てしたガーゼ等剥がして行きますね。
あ、こっちのストールも』

もう腕を首から支える必要も無くなったストール。
血が着いてる。男性の、というか多分一緒にいた顔の傷の多かった女性の方の血だな…多分。
男性に手を伸ばしかけた所で片手を出されて制止された。

「いえ、自分でやります。こちらのストールは通りすがりのご婦人にいただきましてね……せめて次あった時にでも返せないか、早めに洗濯しないと」

強面の男性であるけれど、少しはにかみながら外したストールを手に持って、丁寧に畳んでる。お香の香りもする……、高齢、とは限らないけれど随分と優しげな人に親切をされたようで。
そのストールを女性が手に取った。

「あー…先輩、これ仕事終わりとかじゃなくて早めに対処した方が良いですよ、血が落ちなくなりますって」
「うわ、まじか……あ、で、では五条さん治療ありがとうございました!」
『……ハルカで良いですよ、なんか気恥ずかしいし、私まで騒がしい人に思われちゃうし』

苦笑いしつつそう言えば、はははっ、とふたりして笑って頭を下げて医務室を出ていく。こうして京都校での最初の治療を終わらせた。
書ける所は書いて最後に提出しよう。といってもそんな書く所もないし、備考とかも特に無しなのだけれど。さらさらと書いていれば、こんこん、という音。ドアを外側から叩く音。丁度良いタイミングじゃないのかな、呼び出されなくてもここに私が居るタイミングで怪我人が来たっていうのは。

『……はーい、どうぞー』

椅子に座りながらにドアの方を見る。
ドアを開けてゆっくりとした動作で入ってきたのはまさかまさかの。

『楽巌寺学長!?』
「おお、すまんの。今朝、段差で足首を捻ってな。ついでに腰痛も治して貰えるとありがたいんだが……」

デスク前の椅子に座って学長を振り向いた体勢で固まる私。学長はさっきの二人組、女性が座っていた椅子にギギィ、と音を立てて座る。私から手の届く範囲だけれど。
……絶対腰痛が本命だろ、と喉まで出かけた言葉を飲み込む。そしてゆっくりと私は頷いた。
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