• テキストサイズ

【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第22章 キミは蜘蛛の巣に掛かった蝶


教室のドアを開けて閉めずにそのまま医務室へと走って向かう。大至急って言ってたから重傷なはず。医者でもないわけだけれど、私の呪術で人の役に立てるならば。いや、誰かが死ぬという現場を見たくないから生きていけるようにしたいっていうのが本音。
……頻度は減ったけれど、たまーにリベルタでの再生と死の夢を見るから、そのトラウマを繰り返したくないのであって。

走って、曲がり角を進んでひたすら真っすぐ。
医務室のドアが見えて、私はそのままドアを開けて入った。
室内にはアイボリーのストールを首の後に回し、腕を支える男性が立っていて、椅子に座るのは顔面にいくつかの裂傷を受けた女性。
入った瞬間からばっ、と振り返るもんだから少しびっくりしつつ、ぺこり、と頭を下げた。
……ぱっと見て、今すぐに死ぬかもっていう危険な状況では無さそうだけど、酷い怪我であるには違いないなあ……。
スーツの下の隠れた状態も確認しないと。負傷した場所からふたりの顔を交互に私は見た。

『……えっと、早速ですけれど先に症状を確認させてくださいね』

こっちではどう対応していくのが正しいんだろうな、と探り探りいつも通りの対応で確認から進めていく。
デスクの引き出しに用紙がある、と昨日のうちにマリアから聞いていたからそれを二枚取って、名前や怪我をした場所、時刻、状況、現在の症状を書き取っていく。
どうやらこのふたりは物理的な怪我で私が治せるものみたいで。呪いそのものだったら専門外。呪いで負傷した部分なら治せるけれど根本的なものは治せない(解呪)から、その場合はどうしようか、という所だった。

死ぬかも、くらいに症状が酷いわけじゃないから余裕がある時はこうして書き取って、ミスの無いように。硝子から教わった事をこっちでもしてる。どうせ治すのは呪術、あっという間なのだし。
男性も女性も、きちんと申告し、特に酷い状態である男性からスーツの上から手を触れて腕の骨折と肩の脱臼、背中の打撲を"髪夜の祟り"で吸い取っていく。一番使い慣れているという事ですぐに治療は終わり、今度は座った女性の肩に触れて、脛の打撲と顔の裂傷、手や肘の擦り傷と吸い取っていく。軽いという事もあって少し触れたその数秒で終わってしまった。
/ 2273ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp