第22章 キミは蜘蛛の巣に掛かった蝶
200.
目的地である京都府。新幹線は私達を乗せて乗り換えを数度してようやく高専に一番近い駅のアナウンスをしてる。
話をしていればあっという間、とはいかなかったけれど長かった。
ガラガラガラ…とキャスターを引き摺りながら、私よりも荷物の少ない歌姫の隣を歩く。彼女は東京に一泊しての帰り、私はこれから二週間京都に滞在する。
駅のロータリーに私達を降ろした悟は、窓を開けて「京都に着いたら連絡!んで学校に着いても連絡ねっ!」と叫んでいた。車内から駅へと降りた時にそれを思い出し、歩きスマホも出来ないからいつ連絡しようかな、と思いながら移動していた所で駅を出て、歩道で立ち止まる歌姫。
「車が来るのをここで待ちましょう。そろそろあいつに連絡したら?京都に着いたって」
丁度今が良いタイミングか、と私は携帯を取り出した。私の携帯の壁紙は今はドレスコードの悟の画面。それが表示されず、ど真ん中に通知が表示されてる。……すでに寂しん坊からのメッセージが何件も来てるんですけれど。
そこに『京都、着いたよー!今は迎えの車待ち!』と送った。すぐに私のメッセージに既読が付き、シュポ、シュポと彼からのメッセージが下から湧いてくる。
"到着時間遅くない?事故でもあった?"とか"僕は別として時間にダイヤの調整完璧な交通機関に5分という遅れはおかしいね。交通情報に特に異常は乗ってないし。まさかとは思うけれど、ハルカったら僕の連絡後回しにしてないよね?"だとか、色々と把握済みみたいで。何という監視社会、何というこういう時だけしっかりと時間を気にする人なんだろう。というかまるでどこからか見られているかのような……。
『……おっかね!』
「…?なにが?」
『いえ、つい本音が……へへ、』
不思議がる歌姫にぺこ、とお辞儀して悟に返信をしておく。ここは変な言い訳は要らない、普通に歩きスマホしないようにしてたんですと。すぐさま屁理屈ブーブー言ってるメッセージがシュポシュポ通知音へと変わって鳴り響くけれど、とりあえず携帯をしまって。
歌姫が道路側を覗き込むようにして遠くを見てる。
「お、事前にこの時間に到着するって言ってあるから来たわね。ハルカ、荷物はトランクに積んで」
『はーい』