第22章 キミは蜘蛛の巣に掛かった蝶
ふふっ、と笑いあって。「ところで、」と悟が切り出した。やけに色っぽい視線を向けて。
「ぐりぐりと当たってるでしょ?ハルカのお腹辺りかな?」
『ん?……あ、ああ、うん…当たってマスネ…ハイ』
……確かにさっきからお腹の辺りに確かに硬いものが押し付けられてる。思わず苦笑いをした。
昨日は昨日、今日は今日でログインするらしい、この人。朝勃ちくらい手でやれ、とも言いたくてもこの私が覆いかぶさる状況と押しつけながら僅かに身をよじってる悟を考えれば、朝からえっちをするフラグも立ってる。
私を見上げながら、視線がコンドームの開封された箱を目配せしてる彼。
「残りのゴムが3つあってねー、後で買い足すから……ねえ、朝イチでしようよ?僕の好きをハルカがぜーんぶ、受け取って?」
三回とかそんな時間は無い。しても一回。
駅までは悟が私と歌姫を送ってくれるっていうし、今日の私は移動と滞在する寮の軽い部屋の整理、姉妹校の施設内の見学や学長、現医務室の場所の把握など。
迫る唇に人差し指で止めて、にこ、と笑った。
『一回だけ。一回だけだかんね?……それ以上は駄目』
「分かった、それで良いよ。しっかりと僕を味わっていってよね」
撫でていた手は引き寄せるようにキスを促して。
ぐるりと反転した身体、あっという間に仰向けの私に、見上げた先の悟は余裕そうにぺろり、と舌なめずりをしながら怪しく微笑んだ。