第22章 キミは蜘蛛の巣に掛かった蝶
「な、なによ…?」
「明日からそっちにハルカが行くことになってるけど。そっちの人達で彼女を虐めないでよー?」
歌姫と硝子が顔を見合わせて、困惑した表情してる。そのまま僕に何言ってるんだ?という顔で怒りだしてる。
「そんな事するわけないでしょっ!いい大人なんだしっ!」
「あー…子供じみた嫌がらせだとかの虐めの話じゃないよ?そもそもそんな事したら地球上という大きなリング上の上でバトルをけしかけられるからねー……。ハルカからの技、キマるとすっげえ痛いの。
あのさ、僕が言いたいのはさ。貴重な治療枠をこっちから借りれたからって、しかも春日の一族の一人だからって過剰な任務・実験をするなって事を言いたいワケ」
……。
目をぱちくりして聞いてた歌姫。ふぅ、と肩を竦めて呆れた様に、声を大きくしないように言った。
「私が側に居る時はそういう事はしないわよ。けど、こっちの学長は分からないけれどね…」
「憂太みたいなモンだからね、ハルカ。戦闘と自他への回復出来る貴重な呪術師。憂太は戦闘特化、ハルカは回復特化。ただ、いつも棺桶に足突っ込んでるような子だからちゃんと注意して見張っておいてよ……何度も何度も死にかけてんだ。非人道的実験も散々リベルタでされてる。そんなトラウマもんの実験を高専という立場を利用してされたら流石に僕も大人しくはいられないよね?」
無茶しても、無茶しなくても呪いを寄せ付けるみたいにトラブル側からハルカに襲いかかってる。そういう呪術師の家系とか天与呪縛ってわけじゃないと思うのになんでかなあ。そしてそのトラブルが襲いかかってはなんとか立て直せるんだけれども。
僕からの京都ではオマエがハルカを見張っておいてくれっていう頼みにむすっとした歌姫。隣で腕を組んでじっと僕らのやりとりを聞いてる硝子。その組んでた腕を解いて降ろした。
「……過保護もいい加減にしときなよ、五条。せめてあっちに居る間はのびのびとさせてやりなって。それに京都には時々マリアも医務室に通ってるんだろ?……ですよね?」
「そうよ。ただでさえ、数分あんたと会話するだけで疲れんのにずっと居るハルカの抱えるストレスは相当なもんじゃないの?」
「えー?」