第22章 キミは蜘蛛の巣に掛かった蝶
「明日からハルカが2週間居なくなるとかやだ!!僕も着いていきたい!グズッ……やっと夫婦になったんですぅー!ハルカの任務の件を受け止アハハーンッ!」
『やめろ、来るな。号泣会見もすな。私はともかく……周りに迷惑を撒き散らすんじゃあない!』
えっなに、どゆこと??思わず泣いたフリを止めて顔を上げ、ハルカを見た。公害って言いたいの?違うよね、僕が癒やしのオーラをふり撒いてるって事かなあ?癒やされ続けちゃ仕事にもならないもんね、きっとそういう事なんだろうねっ!
……まあ、"着いていきたい"じゃなくて着いてくつもりなんだけれどね!これは今は知らないはずのサプライズ、ハルカを寂しくしないためにすることだから内緒って事で。
明日の連絡を済ませた後は放課後へ。楽しげに皆で教室を出るのを見ながら僕も行動に移した。ハルカは今、制服を着てるから着替える為に寮へ戻るはず。だってこの後に制服で行ったら良くない事が起こるからそれを防ぐために必ず着替えるんだ。
ハルカが来ない内に先にさっさとふたりに会ってしまおう。
ふたりの待つ、ハルカとの合流場所…高専内の鳥居へとそそくさと僕だけで向かう。
「おっまた~!」
手を振り、小走りで向かえばシラけた視線の硝子と歪な表情をしてるっぽい歌姫。ふたりともオフって事もあって私服で、鳥居の側で立っていた。
「げぇっ!?なんであんたが居るのよっ!」
「ドイヒー!なんで僕の奥さんにしろこの五条悟を邪険に扱うのかなー?もっと優しくしてくれたって良いじゃーん、優しくしてくれればそれなりにファンサするのにさー!」
「……五条自身が理由を一切理解出来てないのが末期だな」
文句をブーブー言われつつ、ハルカが来ないうちに要件を言わないと。このままいつもみたいなやり取りをしてたらあっという間に合流されて頼みたい事が頼めなくなる。
アイマスク越しに見える、微かな気配。まだハルカはここには来ない。うん、と頷き歌姫へと向くと構えだす歌姫。